大日本絵画「モデル・グラフィックス January 2013」

モデルグラフィックス2013年1月号、特集は戦車模型業界のみならず各方面で話題沸騰のアニメ「ガールズ&パンツァー」です。「日本戦車道連盟オフィシャルガイドブック」と銘打って、普通のアニメ雑誌だってここまでやらない35ページの大ボリューム!

は、とりあえず最後に取っておいてまずはその他の記事内容をご紹介。


今月号何がすごいってアオシマバイラル・ジンですよバイラル・ジン。劇場版イデオンに登場したバッフ・クラン宇宙軍最終戦艦(原文ママ)1/20000スケール(誤記ではない)というなんだか冗談みたいなスケールと、組立説明書みただけで軽く3分は笑っていられるあのキットを、ハードなディティールアップと大量の電飾でスターウォーズ旧三部作のメカニクスにもまったくひけを取らないような超絶作例です。いやー、今でも十分通用するSF的デザインだったんですねえこれ、うっとりしますわあ……。「バイラル・ジンなんてとっくのむかしに絶版ジャン!」と思われる方、行くところ行けば売っているのですよ?100個セットとかで。


今月のガンプラ主力はリアルグレード・ゼータガンダムのレビューです。どーでもいーけどRGZって書くとリガズィみたいだ。模型誌各誌で競合となる記事ですが、MGのレビューはセンチネル以来の淡いフラットなカラーリングが特徴か。


むしろゼータ合わせでバイアラン・カスタムをのノーマル版に先祖返りさせてるところがオッサンホイホイって感じでしょうか。むかしMG別冊プロジェクトZに載ってたフルスクラッチのバイアランはカッチョよかった……。果たしてこの先ゼータ版バイアランのキットがリリースされるかどうかは不鮮明ですが、すぐにもジェリド機作りたいって方は必読。

SF・メカキットではハセガワのアルカディア号キットレビュー、マシーネンは宇宙用グローサーフント“アルタイル”改造の強行偵察型、横山デザインつながりでウェーブのギャラガ自機サンプル紹介など。


スケールモデルではアオシマランボルギーニアヴェンタドールがメーカー開発担当者インタビュー込みで面白い内容です。海外向けにエンジンパーツを省略した廉価版キットを設定してもむしろ中途半端な存在にしかならないなど、次回作に向けた展望がちらほら。

カーモデルはこのほか連載企画のドゥージー奥川「ツヤ消しなクルマモケイのススメ」がワーゲンタイプ2バンを用いたウェザリング重視の情景。ミリタリーモデルの手法ですね。


艦船はいよいよバンダイの地球観測船「ちきゅう」キット発売でいやがおうにも盛り上がるホルモグール研究所をはじめピットロードの海保巡視船「いず」やドイツ駆逐艦Z-25、帝国海軍航空母艦龍鳳(長甲板)のニューキットレビュー。


エアモデルは新進メーカーキティーホークモデルの1/48F-35Bが紹介されています。今月ヒコーキ物はこれのみですが、露出の少ないキティホークのキットレビューは貴重。



ミリタリーモデルはMENGのA39トータスとサイバーホビーT28超重戦車の英米バケモノ戦車2本立て。どちらも第二次大戦には間に合わなかったとされていますがそんなことはない、ドーバー海峡地下を掘り進んだナチスドイツのドリル装甲列車と英国本土決戦やったぞ。大野安之のマンガで。

ほか連載記事はいつもの通り。岸川ラボでは河合商会をとりあげています。みんなお世話になったメーカーです、お疲れさまでした……


さて、それでは特集記事「ガールズ&パンツァー」の紹介です。


乗るしかない、このビッグウェーブに!

ばしゃばしゃ (∪^ω^) にしずみどのぉ〜


と、ゆーぐらいに巷で盛り上がっている戦車+萌えアニメ、3DCGで描かれた精密な戦車描写と、この手の作品にしては珍しくエロ方向には走らない落ち着いた女性キャラクター描写など放送前の手探り感とは裏腹に各方面で大好評な作品です。こんなにも多くの人が毎週楽しみに戦車の映像を見ているなんてタミヤのMM最盛期でさえあり得なかったことですね。


プラッツのキットは未だ発売前ですが、サイバーホビー/ドラゴンの既存のキットを使用して大洗女子学園戦車道チームの各車両を、本編第3話・4話に登場した対聖グローリアーナ女学院戦バージョン(キービジュアルにもなっている派手な塗装パターンのもの)で再現しています。


歴女チームの三号突撃砲F型の複雑なマスキング、生徒会チーム38(t)戦車のきらびやかな金色塗装など難易度の高い塗装技法を紹介。いかにも普段から作ってる人のためのものでここだけとって「戦車模型に一度も触れたことが無い人でも大丈夫」とは軽々しく言えないのですが、派手な塗装の戦車が緻密なロケハンに基づく大洗市街地で激闘を繰り広げた第4話は傑作エピソードで、アレを再現したいひとは多いでしょうから、例えハードルが高くてもチャレンジのしがいがありそうです。


主人公チームの使用するIV号戦車D型はベースとなるキットがスマートキット以前の、ドラゴンが一番複雑な製品出してたころのアイテムです。今回の作例ではエッチング使わずになるべく簡単に組む方向で、時間や難度を大幅に下げての製作。どの作例ともプラッツの製品版そのものではないので微妙にもどかしいところはあるのですが、文字情報としては

IV号D:旧キットからG、K、L、M、S、TE、U、V、Zの各ランナーおよびエッチングパーツを省き、同社IV号F2(スマートキットですねこれ)からAランナー2枚追加、IV号H型からDSキャタピラ同梱(サイズが違う?いいえたみやりすぺくとですよ!)

III突F:幟は布製で再現

38(t):インテリアパーツは省略

モデルカステンブランドでの「ガルパンデカール」製品化とMG本誌でコンテスト開催

などと記事中に書かれています。全般的に組み立て易くなるようですが「フタ開けてみないとわからない」ところもありでリリース待ちかな…

デカールの方は大洗以外の各学園校章がほしいところですね。


主人公(あんこうチーム)と歴女(カバさんチーム)はデカール版下が掲載されています。予想通りとはいえ歴女三突のだんだら模様は一切デカール入ってないんだな…


ここまでハードルの高い記事が続きましたがこと「初心者向け」ではこれがいちばんオススメなファインモールド製バレー部チーム八九式戦車甲型は、ご自身もバレー部メンバー「佐々木あけび」役として出演されている声優の中村桜さん自らたったの二日でこの仕上げ!デカールウェザリングも見事な仕上がりです。いやあ、自分が以前乙型作った時は三カ月も掛ったんですよ?


模型以外でも特集内容としては杉山プロデューサーへのインタビュー、大洗市への「聖地巡礼」レポートなど多彩で、各戦車の車内設定画は本邦初公開ではないかな?これを見とくと映像中での各キャラクターの位置関係と役割、行動などがより深く理解できるかと思われます。模型に興味無いガルパンファンでも必見ですよいやホント。「M4A1シャーマンは即応弾を消費すると湿式弾薬庫から予備弾取りだすのがタイヘン」なんてことをフツーにやってるアニメなんて他に無いよ!


いまほど広い層から戦車模型が注目されている時期もこの先そうは無いでしょうから、この機会に多くの方々に戦車模型に触れてほしい、親しんでほしいと、そういう観点からはもう少し初心者に向けた視線がほしかったな……と思える特集内容ではあります。主人公「西住みほ」を演じる渕上舞さん原案のカラーリングによるIV号D型やオリジナルの自作デカールによる「ガルパン風」ストームタイガーなどもありまして「自由」な観点は確保されておりますけれども。

記事本文でもまたこちらからでもガールズ&パンツァー登場車両とキットリストがありますので、この番組で戦車に興味を持たれた方々におかれましては劇中車両の再現のみならず自分が良いと思ったもの、好きだと感じた戦車を是非ご自由にお作りになって頂けると幸いなのです。模型雑誌の作例は確かに緻密で美しい逸品ばかりですが、戦車模型が全般にかくあるべしではありません。たとえ未塗装ストレート組であったとしても、組み立てに掛った時間と達成感はあなただけのもの、それがマイ戦車という物なのです。


ちなみにこれは「まいん戦車」です。

痛戦車だけが自由だと言うわけではない、わけではないが…


先月モデグラの次号予告見て「おー次はガルパン特集かー」ってなったときにヨンパチメーベルワーゲン発売のタイミングでおまけにうっかり「モリナガ・ヨウ プラモ迷宮日記」読んだら作るしかないじゃない!!


戦闘室はマイステージである。これ作ってる時は楽しかった。実に楽しかった。転輪をピンクに塗り始めた時の「もう後戻りできない…」感など今まで味わったことのない楽しさだった。これでいいのだ。


「いいんだ バカでも にんげんだもの」みつを


戦車ってのは結構バカっぽいのりものなんだと宮崎駿(文化功労章受賞者:映画監督)もゆっている。みんなどんどんバカっぽく且つ楽しい戦車模型しようぜ!!

そんな感じで。

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