ネコパブリッシング「陸上自衛隊モデル大全 」

戦車を中心とした陸上自衛隊使用車両の模型を紹介するガイド&カタログ的な内容の書籍です。


キット作例+実車資料写真をセットで提示していくスタイルが中核を占めます。10式戦車はタミヤのキット化で昨年は様々に話題を呼びました。本書では雑誌作例記事としては後発に当たる分、電飾加工で先行他誌とは違った切り口を見せています。一連の「ヤマト2199」もので電飾もずいぶんと身近になった印象がありますが、ミリタリーモデルにもいろいろと応用利かせられそうですね。大型のサーチライトを備えた第二世代MBTなんか映えるだろうナー、などとふと思う。



1/35キットを中心に歴代の陸自車両を紹介していく内容はタミヤの定番キットのみならずファインモールドの60式装甲車やブロンコのM24など実物は古いけれど製品としては新しいキットのレビューもあり、気がつけば陸自アイテムも随分と充実してきたものですね。残念ながら1/48や1/72スケールの製品は記事化されていないのですが巻末にはそれらを網羅したカタログページもあり、フォローはされています。



えときんモデルの75式自走榴弾砲やブレイブモデルの60式自走無反動砲などマニアックなレジンキットも掲載されています。ただ記事に取り上げられているいくつかの製品は絶版あるいは店頭在庫のみとなるものも含まれますのでその点はご注意ください。



全体的な編集方針としては入門者・初心者に向けた内容のようで、どの作例も概ねキットの素性を活かしたもの、塗装作業も比較的オーソドックスな技法が紹介されています。ピットロードの87式自走高射機関砲をハンブロールの筆塗りだけで全ての過程を仕上げていくのは最近の難しいカタカナ技法とは違って却って新鮮味を感じたり。


作例以外にもコラム的に自衛隊の活動や総合火力演習を紹介するページもいろいろとあるなかで、とりわけ目を惹くのは「ガールズ&パンツァー」第2話の10式戦車登場シーンを再現したフィルムコミック的な(?)ページでしょうか。モデルグラフィックス誌ではまた模型戦車道コンテスト開催するそうですから、ネタ本としてもいいのかな?

自衛隊車両ってレギュレーションに合致しないんじゃ?」とお思いの貴方、コンテストの規定なんて穴をさがして捻じ込むのが楽しいんですからそこは色々とやりようあると思いますよーと正式発表もまだなのに適当に書いてみる。(←無責任)


朝霞の広報センターを取り上げたページではプラ娘。の三人がガイドを務めて紹介してくれます。このキャラクターって前はイカロス出版の刊行物で目にした記憶がありますがあまり深く考えるのはよそう……



本書掲載の作例で個人的イチオシ!なのはドラゴンワゴンとシャーマンを中心に昭和43年の交差点を再現したこの情景。民間車両にはマイクロエースのオーナーズクラブが大活躍です。あえてスケール違いを承知した上での1/32モデルですが、核となるドラゴンワゴンが日常感覚とはかけ離れたサイズとデザインなために全く違和感ありません。周囲のストラクチャーもアオシマやフジミの1/32アイテムが多く用いられていて、ものが無いと嘆くよりも実際使ったもん勝ちだと、そういうことでしょうありましょうか。実際自衛隊でもドラゴンワゴンは使ってたそうですけど全然写真が残ってないのはやっぱり使い難かったのかなあこれ。



去年のちょうど今頃は戦車模型業界ガルパンブームがたけなわで、はじめて戦車模型に触れる方に何を薦めれば良いか頭を捻ったものでした。古いタミヤII号戦車F型はこの手の話題には定番的なアイテムですけれど、はじめて戦車模型作るなら自衛隊アイテムも悪くないかと思います。もっとも身近な存在としてここにあるものですからね。

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