バンダイ「1/144 RG MSM-07S シャア専用 ズゴック」

バンダイリアルグレード最新作、シャア専用ズゴックです。2012年のガンプラEXPOでイメージイラストが発表されたときにはコレどうせただの見せ球で、実際には発売なんてされないだろーとタカをくくってたものですが(失礼!)、正式発売のアナウンスが流れたときには嬉しい驚きでありました。

考えてみれば当ブログ初のリアルグレード商品レビューであり、RG組むのは人生初のことである。


ついでに言うと「シャア専用ナントカ」を作るのは小学生以来の快挙だったりする。雑魚メカ好き過ぎにも程があるなあおれ。

(※前にBB戦士のシナンジュ組んだけど、あれはシャアが乗ってるわけじゃないのでノーカン)


ではパーツを見て行きましょう。このサイズのガンプラでは久し振りに見たような気がする多色成型のAランナー。RGは同スケールのHG製品と比べてパーツ総数がたいへん多く、数多いパーツをコンパクトにまとめるためにもこのような配置になっているようです。


Bランナーはリアルグレードの真髄とでもいうべき関節組み込み済み内部フレームパーツ。何度見ても一体どんな技術で製造されているのかさっぱりわからないバンダイ驚異のメカニズムである。本当はバンダイホビーの静岡工場に住んでる金型妖精さんたちが毎晩RGレシピでこさえています。嘘です。


Cランナーも多色成型。シャア専用のカラーといえば昔は「サーモンピンク」だったけど、たしかに鮭の切り身をグリルで焼いたような色ではあるなあ。


D1・D2ランナー。


E1・E2ランナー。外装パーツで左右対称となる部品はこれらの枠内に納められています。DランナーとEランナーで微妙に異なる「赤」の色調にも注意。パネルごとに色味を変えて面構成に緊張感を持たせるのは、元々はお台場の実物大ガンダムで導入された意匠ですが、現在では1/144サイズのガンプラにも反映されています。無論全部が全部そうではないですけれど、たとえば通常のHGキットでもマスキングを駆使してこのような塗り分けを行うのもまたアリかと。


Fランナーはズゴックの主力兵装でもあるカギ爪(アイアンネイル)パーツ。ズゴック本来の設定では3本爪の機体なのですが、大河原邦男画伯による劇場版「哀戦士編」イメージイラストの4本爪版シャア専用ズゴックを再現するため合計8本のネイルが付属します。この機構自体は既にマスターグレードシャア専用ズゴック実装済みのものですね。


マーキングシールは一枚のシートにメタリック部とホワイトのラインがまとめられています。何気にこれも結構な技術の産物じゃあるまいか。


1/144サイズのキットにマスターグレードやパーフェクトグレード並みのディティールとギミックを盛り込むリアルグレードのコンセプトは今回も十分に反映されています。これまではガンダムやザクなど基本は人型の機体(変形を盛り込んだZガンダムもありましたが)ばかりであったのに、このズゴックは水陸両用MSらしい異形感にあふれた魅力が満載。


端的にそれを示すのはやはりフレームの構造で、腕も脚も人型を外した他関節構造になっています。これまでにない試みはリアルグレードのキット幅を広げるもので、件のガンプラEXPOで発表された4点のイラストから敢えてこのズゴックが製品化された意味は大きいのでしょう。


組み立て手順は脚部から。単にパネル分割だけでなく色調の異なるパネルラインに沿って可動部が設けられているのはリアルグレードの基本フォーマットに則っています。「水陸両用MSがこんなにスキマだらけなのはおかしい」とお思いの方、未来ですからその辺はちゃんと考えてるはずです、角度とか。


足底部分には「スクリュー」を装備。回転に加えて円形のフレームごと角度を変えられるギミックは秀逸なのではありますが、左右で回転ピッチが同一なのは、これはどうなんだろうなあ。HGUC以降近年のズゴック立体では円形のダクトであったこの部分に別パーツでスクリューを設けているのは確かに「リアル」なのではありますが、パーツ形状が現実に即した結果現実の物理法則に抵触すると言うその……

「リアル」ってね、いろいろ難しいのですよ。当ブログでもこのワードはなるべく避けるように、価値判断の基準にはしないようにと心がけているものなのです。


スネから膝、太もも部分にかけては実によく動く。フレーム部分のスライド機構は完成後見えなくなるのが勿体無いほどよく動きます。組み立て途中にフレームを破損させないように、またいわゆる蛇腹(フレキシブル・ベロウズ・リム)部分はよく似た形状のパーツが多く接続位置も判りづらいので、いずれにせよ組み立ては慎重に行いましょう。


フレーム+外装の構成であるためやはりスキマは大きいのですが、おかげで可動範囲は大幅に拡張されます。ディティールとギミックの両立こそがRGの基本だなあ。


ボディ内部のディティールもMGに負けない緻密なもの。ズゴックのPGキットはたぶん宇宙世紀を越えたリギルド・センチュリーの時代になっても発売されないでしょうから、このRG版が最高の解像度ということになるのだろうなあ。ちなみにパーツ分割見れば一目瞭然ですがコックピットハッチも開きます。


モノアイは回転軸を前傾させることでMGのときには果たせなかった360度旋回を可能としています。このあたりのちょっとしたアイデアがいいのよこのキット。そしてクリアパーツで構成されるモノアイ自体は上下に動くと。


ズゴックの立体化ではこれもお初かと思いますが、股間ブロックが分割されてこれまた可動範囲を広げています。ハイレグのパンツがスカートになったようなものでやめて!わたしに乱暴するつもりでしょうエロ同人誌とか独り言いいだしたら作業を中止して外の空気を吸え。


完成したボディを側面から見れば股関節軸が上下する機構となっているのがお判りかと。なんだかボトムズのプラモデルみたいな仕組みになっていて、シリーズの違いを越えて「バンダイのプラモデル」として相互に影響しているのが見て取れます。ああリアルグレードみたいなボトムズのプラモデルがあったらなあ。まあ無理だろうなあ……


背部に備わったバックパックも内部にスクリュー装備、そしてやはりここも回転方向が一緒なのである……。MG誌のレビューではこの点を特に問題視してなかったけれど、他誌ではどうだったんだろう?


この部分は外装で完全に隠されるし足底も大して目立たないしであんまり気にする必要ないのかも知れませんが、左右でスクリュー形状を対称化するのってそんなにタイヘンだろうか。バンダイのなかのガンプラのえらいひとは艦船模型の人でもあるのでここんところ気にならなかったのかなーうーん。


些細なところが気になるのは些細なところしか気にならないからであって、全身よく出来ています。両腕も実によく可動して特にポロリすることもない。「ヌルヌル動く」とはまさにこのことか。


せっかくなのでアイアンネイルは左右で爪の本数変えてみます。3本爪のフレームは組み立て済みランナーにあるけれど、4本爪の方はバラのパーツで組み立てなければなりません。これってつまり「リアルグレードの構造でフレームをユーザー側で組み立てる」ような設計でもイケるってことなんだろうか?


ファンタジーRPGの植物系モンスターみたいでもある(コメントに無理が有り過ぎる)


かくて完成であります。いろんなところが自由自在に動く分、真っ直ぐ立たせるのが難しいぞ(笑)水陸両用MSのなかでもひときわ人気の高いズゴックは立体化の機会に恵まれて、HGUCでもMGでも真っ先に製品化されてきました。真っ先に立体化された結果シリーズ後発となるゴッグアッガイのほうが設計も製品バリューも進んでいるというのがこれまでのジレンマではありましたがまあねえ、ゴッグアッガイもまずRGにはならんだろーと思いますからして「重モビルスーツズゴックがあります。こいつはあてになります」を存分に楽しんでいただける製品であろうかと。


幅広い可動範囲を活かして水陸両用MSの異形感、トリッキーな動きを存分に楽しむことが出来るでしょう。全身のスリットも注排水孔あるいはウォータージェット的なものと見れば高機動MSらしい魅力として映る。ハズである。腕長すぎじゃね?ってのは耳にしますが、ズゴックを設定画のプロポーションで立体化するとおそらくまともにアクション出来なくなるんじゃあるまいか。


サポートパーツを咬ませてアクションベース2にディスプレイできます。またインストには特に記されていませんが「魂STAGE」のスタンドにも対応しています。派手なポージングですごっく格好よいズゴックを演出するにしても種ポーズは無理があったな。


股関節の上下移動で前傾姿勢も相当深いところまでいけますな。シュッとした機体揃いのRGにあってズングリムックリなこのズゴック、昭和のおじさんには実に愛着がわくものである、「Gのレコンギスタ」ではグリモアの活躍に期待している。


バックパックを左右に振れるのはなんだかカワイイ系である(笑)ところでその昔、MSinAction版ズゴックのカートンに中国語で「MSM-07 魔蟹」なんて書いてあって向こうじゃズゴックのことそう呼んでるんですよ知らないでしょーへへへんみたいなトリビアを披露したら

「茹でたらシャア専用になるんですね」

なんて即座に切り返されて月影先生みたいな顔になったのを思い出した。こいつ、かなりの切れ者……(それはシカマル)


なお本製品には「好きに使え(大意)」として同スケールのシャアフィギュアが付属します。せっかくなのでコックピットハッチに立たせてみました。ズゴックアッガイモビルスーツで初めてコックピットから直接地面に乗り降りするリフトを設けた(なにしろ手がなかったからな)機体なんだけど絶対死にますよねこれ。。この手の乗降ギミックはさすがにリフトがにょーんと伸びるのは「リアル」でないからとすぐさまワイヤーロープに取って代わられたけれど、ちょっと風に煽られたら直ちに落下事故が起きそうな点では、ズゴックからガンダムエクシアに至るまでリアルにおっかないのである。

マーキングシールをぺたぺた貼るのはあまり好きじゃないんでワンポイントで「AZNABLE SQUADRON」のパーソナルマークだけ貼ってみたけれど、大佐で中隊指揮官というのもアレだよな。アドルフ・ガーランドっていうの禁止な。


長い腕もスキマの多い可動部分もすべては「例のポーズ」を再現するため、それを高いレベルで再現するためのギミックとディティールなので、「リアル」なんて単語は投げ捨てて(暴言だぞおい)ひとつの製品としての完成度の高さをこそ愛でればそれで良い。プラモデルってそういうものです。


問題はリアルグレードGMが存在しない現状、ひとつの製品としては例のポーズが「モビルスーツ土俵入り」にしか見えないことである。雲龍型ですね!!

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