大日本絵画「アーマー・モデリング 2014年08月号 (Vol. 178)」

特集は「奥深き単色迷彩の世界」。複雑な迷彩パターンを描くよりも、実はもっと複雑な色味や塗装過程を乗せることが出来る単色迷彩のハウツー特集です。「単色」とはいえ1色で塗ってるわけではないのです。

一番の見どころは表紙にもなっているAFVクラブM5A1軽戦車を使用してのカラーモジュレーションの解説でしょう。何をすべきか、何を目的としているのかをまず概念として提示し、それを実作で見せていくスタイル。モジュレーション技法そのものはもっと複雑な迷彩パターンにもつかえるものですが、基本としてまずは単色迷彩でテクニックを知ろうというものです。パネルごとに光と影の陰影をグラデーションで塗り分けていく手法、水平・垂直面がはっきり出ていて且つ大きな傾斜面を持ち全体的にはシンプルな構造からなるM5軽戦車は「例」として実にぴったりな作例ですね。


塗装面ごとのマスキング作業やOVMの塗り分け等、細かなところまで行き届いた演出によって高い効果を得ることが出来るカラーモジュレーション、ともすれば技法の名前だけが先行しそうな中にあって、今号ではひとつひとつの作業過程がとりわけ丁寧に説明されています。特に今回はクレオスから発売が予定されているMr.カラーの「カラーモジュレーションセット」を一般発売に先駆けて使用し、いわば予習的な記事内容ともなっています。日本中どこの模型店でも安定して供給されるマテリアルで実行できる技法は多くの方の範ともなるものです。


薄く溶いたアクリル塗料を筆塗りで重ねていく「マルケン塗り」も一号戦車を使用してその塗装過程を丁寧に追った記事が掲載されています。筆塗りによるムラをコントロールして全体としての統一感を持たせつつ、ヘアスプレーを使った塗膜剥がれの表現が非常にマッチした作品。


その他油彩を使ったウォッシングやAKインタラクティブの剥がれ表現液を用いての剥がし技法などの手法が掲載されています。大事なことは技法の名前に振り回されることではなく、自分が何を表現したいか、そのためにはどんな手段があるのか、思い描く作品像に実作を近づける、そのための技法だということでしょうか……


これの技法を単色のベースカラー上でやると何をどうしたのかハッキリ効果が分かるのは、実に達成感があって楽しいことですね。


特集内では缶スプレーだけでちょっと工夫を加えてみせるやり方も紹介されています。例えば缶スプレーでは物足りなくなった方が、次に向かう先としてエアブラシ迷彩ばかりではなく今回の特集のような方向でも良しということでしょう。それはそうとソ連戦車のグリーンにザクの緑は実にピッタリなのですよ、マジオススメ。


特集以外のページでも今号は単色塗装の作例が目を引きます。アルコール落しによる土ぼこりの表現はそもそも単色塗装の車体に良く栄えるものですし、ましてやAFVクラブのショットカル・ギメルのように構造物の凹凸が車体全体に及ぶものならその効果は倍増。タミヤ1/48BA-64Bは非常に小さなプラモデルですが、丁寧に重ねられた冬季迷彩に丁寧にチッピング表現を追加すれれば、実際のサイズ以上の重量感を持たせることが出来ます。模型の形や大きさも、それによってどんな技法がマッチするのかを考えさせられる大きな要素なのです。


メーカー各社からリリースが続いているWW1アイテムではMENGのサンシャモン、特に排気管の錆表現が秀逸な作品とすっかり連載記事(?)的なWoT枠では12.8cm砲搭載フェルディナンドが製作されています。そういえば何号か前に載ってた長砲身JSU-152がドラゴンから実際に製品化されるとの話で「World of Tanks」はホントに大人気ですね〜。今号の特集によればカラーモジュレーションの発想はゲーム画面の描画から生まれたものだそうで、やはりゲームの影響は大きいものなんだろうな。なお今回は6月に行われた「WoT模型部」イベントのミニレポートも載ってます。


ミニといえばミニスケール派のみならず幅広い層のモデラーTwitterを介して口コミ的にその良さが広がっていったエレールの完全新作1/72M4シャーマンが、ご存知シャーマン道の偉い人丹羽和夫氏によって急遽キットレビューされています。ミニスケールアイテムはなかなか戦車模型誌のメインストリームになり得ないジャンルではありますが、こうしたメーカーの本気にはちゃんと応じていってほしいもので。

1/35スケールの製品価格がうなぎ上りな昨今ですから、お財布への観点からでもミニスケールが再評価されても良い気がするんだよねーうーん。


そしてユニークなコンテストがまたひとつ開催されます。題して「戦車通学」誌上コンテスト。モデルカステンのプラ美フィギュアが戦車に乗っていればあとはなんでもよいという割とざっくりした(笑)レギュレーションなのでいろいろと面白いアイデアが反映されそうです。ガルパンの戦車道ではないのだから現用アイテムもOKってことで

「交差点に居座ったソ連の戦車と警備兵たちの前を肩を落として寒そうに通学していく占領下日本の女子高生」ディオラマとかどうでしょうか戦車に乗ってないからダメですか。


とはいえガルパンおじさんとしてはガルパンで締めたいところである。今回はOVAで大活躍のP40とCV33、アンチョビさんフィギュアも加わってアンツィオ高戦車勢ぞろい、( ゚∀゚)o彡°ドゥーチェ!ドゥーチェ!とOVA見た後ずっとこんな感じでワンフェスでもイタリアの風が強く吹くと予想されます。


あと「陸上自衛隊現用戦車写真集」がかなりスゴいものになりそうで、みなさま早めの対処を心がけまショー。

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