ホビージャパン「大日本帝国海軍艦艇図鑑 1941-1945 」

ホビージャパンからこういうタイプの書籍が出るのもちょっと珍しい気がします、タイトル通り太平洋戦争当時の旧日本海軍艦艇を網羅したカタログ的なもの。


大型艦は見開き2ページ、小型艦は1ページを使ってそれぞれの艦のイラスト、要目や戦歴について解説される体裁です。この分野では古くからあるスタイルで、他の版元が嘗て出していた同種の書籍をお持ちの方もいらっしゃることとは思います。


ベテランにはいささか陳腐に思える物かも知れませんが、いまこの時期に初めて接する入門者の皆様におかれては、このような書籍を一冊持っておくと後々何かと重宝するもの。特定の切り口を持たずどちらかといえば「広く浅く」な編集方針、このレベルのデータであれば実はネット上で閲覧することは十分に可能なのではありますが、それでもやはり書籍には書籍ならではのメリットというものもあります。


一部の艦艇ではタイプシップの項目で同型艦までをまとめた内容となっています。その辺の線引きはいまひとつ判然としないのですが、「戦艦」項目の第一番目に「大和」が置かれていることからも「一般」に向けた人気の度合いがバロメーターになっているものと思われます。「一般」の人気度合いもこの一年で随分と変化したようには思うのですが(笑)


基本は実在した艦のみで未成艦については雲竜型で若干触れられるものの、伊吹については特に項目が設けられておりません。にも関わらず唐突に「改大和型」なんてページがあるのは何故だ(笑) この項目の記述内容自体は「列強に先んじて大艦巨砲主義を捨て、航空兵力の充足を図った日本海軍」という海軍に対する近年の見方を説くもので、重要な記述であることは確かなのですが。


補助艦艇、潜水艦や海防艦などにも目は配られています。残念ながら「海軍艦艇図鑑」でありますので、最近急速に人口に膾炙したいわゆる陸軍空母や「まるゆ」についての記載がないのは如何ともし難くあります。


要所ではコラムも掲載され、建艦技術・設計思想の進捗のみならず当時の時代背景や国際関係についても一定の知見を得ることが出来るものでもあります。模型制作資料というよりも、艦艇に対する基礎知識を修めるためのガイドブックとでもいうべき存在でしょう。


願わくばこの本をきっかけにひとりでも多くの方が軍艦趣味のより深い方へと進まれますようにと、思う所存。

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