角川書店「艦これ白書 オフィシャルブック」

※あらかじめお断りしておきますが当方ゲームは未プレイです。あくまで書籍内容の紹介ということで提督諸卿にはご了承戴きたくあります。

ブラウザゲームから始まって続々と各所に戦線を拡大しつつある「艦隊これくしょん」関連書籍の中でも「オフィシャル」を謳った初のものです。

ただ残念ながら「オフィシャルと銘打たれた割には誤記誤植が多い」との評判が先に立ってしまったことも事実。現在は版元のサイトから正誤表をダウンロード出来ますが本記事執筆の段階ではいまだ完全なものではないようで、万全を期すならばネット上の集合知に頼ったほうが無難かも知れません。


誤表記があったのは主に史実に関する記述と艦艇の写真使用であり、この本の主な内容はあくまでブラウザゲーム艦隊これくしょん」に登場する各キャラクターすなわち「艦娘(かんむす)」を紹介するものだと、そのあたりをご理解いただければ、紅茶を片手に紳士的に嗜むためのフルカラーイラスト集だと受け止められますまいか。


日夜激戦と入渠と建造を繰り返す提督諸卿よりは、むしろ「ゲームはやってないけどもどんな雰囲気なのか興味はある」ような、銃後の人間に向けたガイドブックなのかも知れません。それぞれの艦娘は基本的に1ページごとに立ち絵一枚を使って印象的な台詞とともに紹介するスタイル。ステータス数値および簡単な解説が各娘の自己紹介の形で書かれています。運用コストや修復にかかる実時間などゲームをやる上での労苦やましてやエラー娘さんのことなんてひとつもかかれていないのでみなさんどんどん着任しましょー。


このゲームをきっかけに「空母といえば翔鶴だ!」なヒトになってしまったり、史実の資料だけではなかなか気づくことの出来ない種類の龍譲の魅力に傾くヒトが増えてくれればそれはそれでよいことです。しかし一体何がきっかけでここまでブレイクしたのかは、それはゲームやってみないとわからないかな?


先日はブシロードトレーディングカードゲーム「ヴァイスシュバルツ」への参加も発表されましたが、本書の記述はアニメ化がアナウンスされた9月までのデータをもとにしています。よって五十鈴さんはまだ気の毒な解体要員のままです……


ミニカレンダーやピンナップなどに描きおろしの新しいイラストが数点掲載されていますが、むしろ目玉となるのは初公開となる初期の設定画で、身体各所に配置されているメカ部分の詳細な形状や実際の艦艇からの由来が見て取れて面白いもの。フィギュア造形やコスプレ衣装の製作にも役立ちそうな資料的価値の高いコンテンツが長門・陸奥・夕張の三名しか掲載が無いのはいかにも残念で、ここはもう少し注力していただきたいものです。イラストレーター諸氏によるアプローチの違いとかいろいろ掘り下げられそうで、ちょっと勿体無い。


巻末にはダメージ状態のイラストを選抜した「中破これくしょん」やスタッフ・キャストインタビューなど様々な記事もありで決して公式イラストを集めただけのものではないのですが、いろいろと「戦時急造感」が否めないのも確かなので、この先の艦これの展開・戦域拡大とあわせて角川書店の本気を見せてもらいたいものですね。

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