モデルアート「艦船模型スペシャル48:艦隊防空艦」

艦船模型スペシャル最新刊はこれまでとはちょっと変わった切り口の特集です。

「艦隊防空艦」と題して重巡洋艦の「摩耶」をはじめ連合艦隊の各種防空艦艇を製作していく内容は従来通り良質の作例記事が続きます。



軽巡洋艦「五十鈴」、駆逐艦「秋月」(米艦「アトランタ」も含む)を1/350・1/700の両スケールで、最新の考証を反映しディティールアップパーツを駆使して共作していくさまもこれまでと同様のスタイル。


圧巻はアオシマ製1/350スケール「五十鈴」の作例でしょうか。不明にしてこれまでこのクラスの軽巡洋艦を格好良いと思ったことがなかったのですが(失礼!)垂直に屹立した艦橋と整然と並んだ煙突の姿、なによりその上下方向のベクトルを強調するハードなウェザリングが五十鈴の魅力を存分に引き立てています。世間では「艦これ」ことブラウザゲーム艦隊これくしょん」ブームのお陰で五十鈴も大人気だそうで、そのオリジンな姿に迫ってみるのもよいでしょう。


※自分はゲームをやらないのでよく知らないのですが艦これの「五十鈴は養分」ってどういう意味なんでしょ。擬人化ゲームじゃないの?


ここまでは従来の艦スぺとさほど変わらない構成なのですが、


今回は同じ「艦隊防空艦」のくくりで海上自衛隊護衛艦イージス艦など新鋭のDDG艦籍のものを中心にミサイル護衛艦群をとりあげています。いわば時間軸の縦に取った内容は、「秋月」と「あきづき」に代表されるように伝統を重視する艦船の世界にも沿ったもので、これまでピンポイントに艦種や海戦を捉え、また同時代的なに国艦艇を俯瞰で見ることを提示してきた艦スぺの流れに新しいスタイルを加えることでしょう。


海自艦艇のパートも記事のグレードは旧軍艦艇と同様のものに加えて実物資料写真も充実しています。FCS-3Aレーダーを搭載したあきづき型のスタイルは独特で、なかなかに印象的です。


作例以外に特集に併せて掲載された「米海軍の艦対空ミサイル」は海自艦艇にも密接に関連する興味深い内容で、新連載第2回の「日本海軍艦船図鑑」も特集と連動した対空火器を扱います。北京軍事博物館に展示されている九六式25mm連装機銃は対空用の環型照準器も現存する保存状態のよいものです。


特集から離れたところではAFVクラブの1/350潜水艦イ-27が曾社長のインタビューと共に掲載されています。インタビューは起業理念から現在の中国(だけでなく、世界の)模型事情まで幅広く読みごたえのある内容で、読んでいて色々と考えさせられますね。


連載記事「日本海軍の観艦式」は折り込み2枚を利用した超ワイドサイズで昭和五年観艦式のパノラマ写真掲載が楽しいのですが、とてもスキャンできないので記念品関係を。またシールズモデルの1/350駆潜特務艇第一号型が渋すぎ、そして泣かせてくれます……

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