MENG「1/35 フランス戦車 AMX-30B 」

MENGモデルの戦車模型としてはメルカバに次ぐリリースとなったフランス陸軍第2世代型主力戦車、AMX-30のキットです。
いささか気まずいことを先に書いてしまいますと、この戦車については実はあまり詳しいことを知らないのです。しかし幸いにして最近ではどこのご家庭にも普及しているグーグル先生に聞いてみればえーやと検索してみたら、教えてくれたのは以前自分がこのブログで書いたエレールのキットレビューである。


気まずいよね(´・ω・`)


何が気まずいってあの記事エレールのキット開発時期についてどうも勘違いしてたみたいですし、それになにより「新規開発キットは難しいだろう」なんて堂々と書いちまってることである。


出ちゃったよ(´・ω・`)


正直MENGモデルのキット製作方針がよくわからんのです。なんでメルカバの次がこれやねん……と、いうところが魅力なのでしょう。「ズベズダがティーガーを出すそうだが」「MENGもですよ」「バッティングかよ」「しませんよ」なんと素晴らしいことか!その次はブルドーザーだしもうドンドンイケイケって感じであります。すごいぞMENG、でもサイトが激重なのはなんとかならないでしょうか…


では例によって順繰りにパーツ見て行きます。転輪関係Aパーツは2枚入り。


キャタピラBパーツは計5枚入りの連結可動式。







この辺はごく普通に「普通のプラモデルです」。最近「普通」という概念がゲシュタルト崩壊を起こしつつあるのは普通の症状です。


が、しかし。今回レビューに使った個体は車体下部先端が破損していました。幸いこの部分個別包装されていたのでビニール袋内にで破片を発見、再生することが出来ました。優れた金型技術による極薄のパーツ成形が却って裏目に出ているようでちょっと心配ですねいろいろと。最も新製品が出るごとに進歩改善されている面が多いのもMENGモデルではありますけれど。


デカールは2種のマーキング。砲塔キャンバスカバーはラバー、マフラーガードはエッチングで入ってます。MENGのキットは「なんでもプラでやっちゃう」印象がありますけれど、考えてみればエッチングもラバーパーツも一番最初のピックアップトラックで既に使われてましたな。



各パーツのディティール、一体化と分割の適度な案配などはトップクラスのものでしょう。ワイヤーの微妙な曲線もインジェクションで抜いちゃうところは「なんでもプラでやっちゃう」印象が広まるわけである。(実は不要パーツの中にワイヤーのヘッド部分だけ独立したのが混じってます、ディティールアップの伸びしろがあらかじめ用意されてるんですね)


ユニークなのは連結キャタピラとエッチングの加工に最初から治具を入れてることでしょう。ユーザーへの細かい気配りが伺えます。設計は非常に配慮されたものなので、運搬移送時の保護や養生にも配慮したパッケージングが望ましいなあ、とか。イマドキの戦車模型ってどこの国のメーカーであっても海外市場前提なのですから、優れたキットを開発するのと同じぐらいに大事なことでしょうね。「ファン」ってね、そういうとこから生まれるものでしてね。



では組んで行きます。本キットの一番のセールスポイントは「可動」のようでサスペンションもよく動きます。エレール組んだ時にはいまひとつヨクワカラナカッタ(汗)ボギーとアームの関係もよく理解出来て気分爽快である。


トーションバーはプラの弾性を利用した可動方式で、日本のメーカーではタスカのルクスがこのスタイル取ってましたね。


サスペンションアームとボギーをつなぐ作動ロッド(?)は外れやすいので注意。裏側なんで直してるとそこそこストレス溜まります。結局木工ボンドで仮止めしてしまいましたが……。


車体の上部構造は特に変わったことは無く堅実な設計。この世代の車輛は車体外部に小さな補機類がごっちゃり乗ってるのが丸見えなんで、堅実ながらも大変ではある作業工程が続きます。なお車体部分などペリスコープの一部はクリアー化されて無い箇所もあるので、塗装する際には下地処理が大事です。(説明書にはただクリアブルー塗れって記されてて、さすがにそれはちょっと乱暴)


側面のディティールは別パネル化されていて、この箇所の設計思想はエレールのキットと同様だったりします。念のために言っておくとパクリとかそういう話じゃなく、先行他社の様々な製品を参考にしているんだなーと、そんな印象を受けます。モデラー目線で設計しているというか、そんな感じ。


エンジンデッキが別パーツになっているのは進歩している箇所で、自走砲型などのバリエーション対応とパーツ設計の「解像度」を高めるのと、両方への配慮でしょう。


マフラーで隠れて見えなくなる側面部分にグリルがあるとはこのキット組むまで本当に知らなかった。マフラーで隠れて見えなくなるのにこの精度です。


リアフェンダーは2種から選択。ここに限らずコンパチ部分の多い模型なのですが。残念ながらなぜそこが選択式になってるのか、違いを説明してくれません。製造ロットの違いとか多分そういうことじゃないかと推測しますがううううむどうなんだホントのところは。なんかこの戦車って日本じゃ異様に不人気で、あまりに知られてないことが多いような気がする……


マフラーのフタが開閉コンパチなのは特に説明なぞ無くとも理解できるのですけれど(笑)結局リアフェンダーはあとでキャタピラ入れることを考えて角度の高い方にしました。単純に可動による位置の変化を再現しただけなのかも知れないなあこれ。ちなみに「あとでキャタピラ入れることを考え」たらリアフェンダー接着はあと回しにした方が良かったと、あとでキャタピラ入れるときに考えが及びましたOTL


一部のOVMは小さな部品の小さなピンを小さな穴に取り付ける作業がかなりタイトになります。うっかり曲げちまわないように多少穴のほうをカッターなどで気持ち拡張しといたほうがいいみたい。でもやり過ぎにはご注意です。

エッチング治具使いましたが、うん、まあ、それ「だけ」では綺麗にはいかないものですねorz


しかし前も後ろも異常にごちゃごちゃ物が満載の戦車で、おフランスにしてはあまり芸術性を感じられないセンスである。だいたい敵弾が一発当たったら即座にぶっ飛ばされそうな所に消火器置いとくのはどうかと思われ(笑)また車体前面2枚のパネルはエンジン吸気口の防水パネルで、ここもちゃんと別パーツ化されてますから、マフラーの蓋と併せてちょっとした加工で渡河仕様を再現できそうではあります。カニングタワーとシュノーケルについては…ついては……


スイマセン今の記述は見なかったことにしてください(え


治具を使って製作するキャタピラはモデルカステンやホビーボスのようなピン打ち式では無く、ファインモールドの五式中戦車のような貼り合わせ式です。AMX-30ってシングルピン履帯だったんだな。ほんでその、どの模型雑誌のどの記事でも、連結キャタピラは一気呵成に組んでしまえドンドコドン的なことが書かれていますけど、治具を使ってゆっくり作るのもいいと思います。ライターさんと違って締切あるわけじゃなし、好きな音楽を聴いていろんなことを考えながら組むのも楽しい作業。自分もいろんなことを考えました。ベルト式なら楽でいいなとかベルト式ならバラけないから素敵だなとかベルト式なら夜中に泣いたりしないよなとか。いっそベルト式キャタピラを奉じ奉る宗教を興し法人格を取得して税金を払わず政治政党を設立し政権を獲得し強権弾圧政治を施行し世の戦車模型のキャタピラを!すべてベルト式に!!

つまんないこと考えるより手を動かしたほうが早いです(´・ω・`)ネ!


Bランナー一枚で36枚、説明書の指示では片側80枚となってますから多少余裕はあります。


取り付けに当たってはポロリフギャー事例が続出したので一枚プラスの片側81枚で行いました。リアフェンダー接着はこの時点まで持ち越すべきでした。


主砲部分は概ね三パート。砲身は下部ディティール再現のため上下で分割、防盾カバーは可動を活かすためにラバーで再現と、この辺の処理はエレールのキットとほぼ同一。


しかし砲尾の再現性はエレールと比べて大幅に進歩してます。なんて言うかな、旧キットをリスペクトしてるような印象を受けます。


砲塔部分ほぼ完成。同じ戦車を同じようにプラモデル化しているのだから似てくるのも当然なのかも知れません。しかし2種類ある同軸機銃の違いを少しも説明しないところまで同じなのはいかがなものだろうか。


とはいえやはり各所の解像度は高いもの。昔エレールのキットを組んだから…という人にこそ作ってみてほしいアイテムかも。また砲塔部分でいくつか、いかにも「何かを取り付けるための基部」を切削するよう指示があるのはB2型の開発も見据えて設計されてるヨカン。湾岸仕様…とか??


独特なキューポラの形状も一度エレールで見てるから慣れで組めます。しかし慣れで組んだらとサーチライトとペリスコープが白濁してしまった(;´Д`)


細かなドタバタはありましたけれど、基本的には素姓の良い、よくできたプラモデルです。第二世代型は外見がわかりやすくていいよなー。


砲塔側面のラックは左右とも一体成形で労せず組むことが出来ます。個々のパーツは非常に精度が高い設計です。ただいささか細か過ぎるのか、物によっては薄くバリが発生してる箇所があったのも事実で、再生産が続けばそこはちょっと気にした方がいいかな?


ポリキャップの可動箇所は若干タイト、またMENGのサイトには完成した車両に手を掛けてブンドドしてるイメージ画像が確かあったんだけど(サイトが開かなくて確認出来ません)さすがにおっかなくてそんなことは出来ない。


キャタピラひとつとってもこれがMENGのスタンダードだと言えるほどにはまだフォーマットが定まってない、その分一作ごとにメーカーとしてのチャレンジ具合がが伺える、実に見ていて楽しいメーカーなんで流れとか流行りとか気にせず好きな物を好きなように製品化して戴きたいところであります。

ああ、今度こそ胸を張って言えますが当分これが決定版、新規キットはそうそう出ないことでしょう(笑)

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