「ニコニコ超会議2の10式戦車」

4月27日・28日に幕張メッセで開催されたニコニコ動画のイベントに出展していた自衛隊在日米軍合同ブースで展示されていた10式戦車を見てきました。
超会議に10式を持ってくるって話は前から聞いていましたが、当ブログでは以前に朝霞広報センターに展示されている試作車両を見ているので特に新鮮味はないかなーと思っていました。が、土曜の朝にニュースを見たら会場に持ち込まれたのはなんと量産型であった。タミヤからキットも出ますしこりゃ見ておきたい。いつ行くの?今でしょ!ぐらいのイキオイにシフトチェンジですよああ予定のない連休って素敵ですね(死)



で、行ってみた。


人大杉


アッハイ海浜幕張駅で降りてうっかり口に出たひと言が「来るんじゃなかった…」だったのはレポーターとしてあるまじきことである。


でもやけに人だかりがしているのも当然で、ちょうど開発者トークショーがはじまるタイミングだったのでした。ちょっとラッキーであった。


このイベントは公式チャンネルで配信されていたのでご覧になった方も多いでしょう。三菱重工と日本製鋼から現役社員の方がブースに登場し、10式の開発秘話や当事者ならではのお話を直接語ってくれたのです。「10式は車内冷暖房エアコン標準装備」「スラローム射撃は昨年の総火演で見せた以上のことが出来る」などこの会場ではじめてオープンにされた貴重な情報も盛りだくさん、そんな話題を個人が直接発信する機会が設けられるのも、「ニコ動」らしいといえばらしいか。


【勝手な】停止目標だけでなく移動目標に対してのスラローム射撃も可能って、その目標が「地面を移動している」必要はたぶんあるまい【私見】


司会をされてた中村愛さんもステキだ(*´∀`*) よく知らない方だったのですがちょっとぐぐったらすごいニックネームとかすんごい画像とかえっぱい出てきてうひゃあ。アオシマのトイレプラモは購入されてるのでしょうか。


とにかく、戦車である。陸上自衛隊富士学校機甲科所属の10式戦車「95-5433」号車、量産型の初号車として「入魂式」が報道されたまさしくあの個体です。これは推測ですがタミヤのキットにマーキングデカールが付属する確率はかなり高いと思われますので、キット発売後の参考になればと車体周囲を歩きまわって主にクローズアップを撮影してきました。

考えてみればいくら近場の朝霞とはいえ1年近く屋外で静態保存されてる試作車よりは、現在普通に運用されてる「生きた車体」を富士からもってくる方が楽なので、それほど驚くことではないのかも知れません。いやしかし、いかに各地の基地祭で既に展示公開されてるとはいえ民間主催のかなり趣味色の強いイベントに最新鋭の戦車持ってきたのはやっぱり驚きで、搬入や搬出の様子があったら是非見てみたいものですが…


試作型と比べてボアサイトミラーやレーザー発振部が主砲右側に移設された量産型、砲口はゴムカバーで覆われています。


富士学校のマーキング図案は試作型と変わらずですが、車体各所の擬装用タイダウン取り付け基部となるフックの個数や位置は変更されています。


搭乗用の足掛けも変更され、より使いやすい配置となりそしてやはり「顔」っぽくもあり(゚Д゚) またこの車輛の迷彩塗装はボケ足の強い吹き付けで施されていました(どうも展示に併せてリペイントされたようです)


補助電源装置の排気口に下向きのカバーが取り付けられたのも量産型での変更点。


厚みはこんなもんでした。装甲素材なのかなー。それはともかく内側にボルトが見えますね。袖口部分だけ別パーツなのかしら。


この追加装備が成された理由はAPUからの熱を帯びた排気を主機が取り入れないような配慮であろうと言われています。例えば主機を停止して隠見するような場合でも、電子機器を作動させるAPUの排気口は赤外線を放出するでしょうからその低減処置…とか?


車体前部ではホーン周囲の外観が変わっているのですが、この部分に関してはホーンの位置をやや移設したことに併せてボルト止めのカバーが装着されたことで外観が変わった「ように見えた」のが正解みたいで基本構造は同一のようですね。


車体前縁の前下方監視カメラ。泥汚れはどうやって拭うのがちょっと気になる配置であります。レンズ部分まで塗装されてるように見えるのは、ここも含めて各所のカメラ/検知器部分がカバーされているからで…


不思議に思って隊員の方に伺ってみたら、マスキングテープを貼って上から迷彩と同色でペイントしているとのことでした。一般展示に合わせて保護する意味合いでしょうかと重ねて質問したところむしろこれは機密保持の目的だそうで、「あまり関係無いと思うんですけどね」と苦笑交じりのお答えでしたがやはり御苦労あるようです。色味を合わせたというよりも同色でまとめて塗ったように見えるので、多分リペイントしたんだろうなーと思いましたが、あんまりしつこく聞くのも躊躇われますからそれは聞かずに済ませました。またこの砲塔四周のレーザー検知器、移送時には更にこの上からプラ製?カバーを被せていたのはどうやら臨時の処置のようで、駒門駐屯地に部隊配備された車輛では演習時にゴムカバー装着している写真が見られます。


(AM誌2013年1月号記事より浪江俊明氏撮影)

キットが出たらディティールアップ(?)のポイントになるかな?


キャタピラは錆ひとつ浮いていない美しい状態でやはり新品か塗り立てか、晴れの場にあわせてお化粧した様子が伺えます。ゴムスカートのひらひら具合はちょっとキュートでそうだ戦車って女の子なんだ、アンドじゃなくてガールイズパンツァー、パンツァーイズガールなんだよ!(会場の熱気でテンションがおかしくなってる病)


これも量産型で設けられた新しい機構、砲塔側面の雑具入れです。開閉レバーをゴムバンドで止めていることから鍵のかかるものではないと推察されます。


50口径機銃はQCB(クイックチェンジバレル)型が標準装備。幸い一般観客には手の届かない高位置にあるのでどこぞの政治団体が因縁つけてくることもないですw


エバキュエイター部分はFRP繊維のモールドが確認できます。屋内だと照明が足りない分コントラストはハッキリと目に見えて、しかしコンデジでそれを撮影するのはなかなかタイヘンなのであった。日本製鋼製のこの戦車砲、なにか「名前」はないんでしょうかね?車内ネームなり形式番号なりあると一般に浸透し易いのですけどね〜。


繊維質といえば前から気になる車体後端の謎フラップであります。試作型より目が細かいかな?2枚以上の重ね張りをリベットで留めているのは変わらないようですが。


スコップは車体後部上面で露出固定。これも試作型には無かった配置。


通信アンテナにはなにやらコーションマークが貼られていました。アンテナ2本が直立するスタイルはそれこそ61式戦車の頃からずっと変わっていませんが、特にC4Iを強化した10式のデータ通信量/速度はこれまでの国内外の戦車とは比べものにならないもの。アンテナ自体は何か違ってるんだろうかしら…?


環境センサにも三菱重工の製造銘盤が取り付けられています。ライセンス生産品?開発者トークショーでは「100%純国産」を謳っていましたがはて。どちらにしろ1/35スケールで再現するのは辛そうですからこの部分は深く考えないで放置しまショー。


ワイヤーの取り回しも朝霞の車両とは異なるもの。完全な新品のようで銀色に輝いていました。


固定フックの微妙な面取りに「チクショウ見なきゃよかった」などと心の中で毒づくのは本末転倒である。


ペリスコープに隣のブースのモニタ画像が反射してちょっと面白い絵に。いやなにが面白いって戦車を見ている視界の端をアッガイが歩いていたり戦車の向こうでRC飛行機のスカイフイッシュが飛んでるこの空間はまるでマンガの世界であった……


全体を通じて非常に綺麗な車両だなとイメージを抱きました。それはリペイントされた(であろう)塗装だけに限らず、溶接痕や表面処理など多岐にわたって職人的な美しい仕上げが施された車体各所から醸成される雰囲気なのです。


参考までにこれだけ試作車両のほぼ同一箇所の画像。やはり随分違ってますねえ。この違いは試作型と量産型で仕上げの質が異なるというよりも試作車両は数々の過酷な試験を実戦さながらにくぐり抜けて来たためのものなんだろうなあと、トークショーでの力強い応答を見た後ではそう思う。日本の国産戦車はどの形式も精巧なつくりであるのが伝統で、ちょっと前にはその手づくり感を揶揄するような物言いもまあ、あったのですけれど、自国の防衛や安全保障を担う存在が美しいことはむしろ誇っていいのではないか、荒々しいことだけがパワーではあるまいと、そんな感想も持ちましたね……。

それはたとえば戦車模型の見せ方、魅せ方にもっと色々な方向性があって良いんではないかと考えることでもありまして。美しい女性フィギュアを作るように美しい戦車模型を作れないものかなーとか思う訳だ。美しい女性フィギュアが決してオモチャじみては見えないように、美しい戦車模型もまた然るべき…なんてね。


ブースでは10式以外にも高機動車(空挺団のマークがあったんで習志野から来たのでしょう)の体験搭乗や陸海空三自衛隊の活動を報じるパネル展示、コスプレや記念写真のゾーンなどなかなか盛況な賑わいでした。こういうお祭な場所でのアメリカ人の明るさは愉快で、在日米軍ゾーンは楽しそうだったな。


ニコニコ超会議2は土日の2日間に渡って開催されたので、深夜の会場内でも24時間の警備体制を敷いていたようです。ご苦労様です。いろんなひとのエネルギーが作ったイベントです。


ニコニコ超会議そのものには思うところ、考えさせられる面も多々あったのですが広い会場内のごく限られた場所しか見られなかったもので感想などは割愛します。ただワンダーフェスティバルホビーショーって静かで落ち着いたイベントだったんだなーと、それだけは確実に言える(w;


ホビーショーまであと半月、タミヤのキット発表が実に待ち遠しくなる10式量産型の一般展示公開でした。

そして10式とは関係ないんですが同じ週末に開催されていた「ガールズ&パンツァー」のイベントで劇場版とOVAの製作が発表されたそうで実に目出度いことであります。劇場版の内容こそ不明ですがOVAは大洗とアンツィオの戦いを描くとかでイタリア軍のえらいひともきっと大喜びでありましょう。


手持ちのカーロアルマートM13/40をカステンのデカールアンツィオ仕様にしといて本当によかった。タミヤのキットは実車と比べてちょっと不自然な箇所があるんだけれど、フラッパーのコミック版(2巻で大活躍)はタミヤのプラモをモデルに描画してるんでむしろ自然になるのです(笑)


アンツィオの校章はあと2枚残ってるんで、こんどセモベンテでも作ろうかな。でも品切れなんだよな今…

またイベント当日販売されたパンフレットには「知波単学園」のキャラクターや使用戦車の公式設定が発表されて一部騒然(笑)そのイラストによれば知波単学園のチハは冷却気排出口が変更された新車体に57ミリ旧砲塔を積んだレアな仕様でキットはファインモールドから出ています。みんな作ろー。


なぜ一般的な仕様にしなかったのかってそりゃ軍産複合体のインボウガーに決まってるだろいわせんなよ

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