ホビージャパン「大日本帝国の軍用銃」

日本陸軍の代表的な小火器を、実銃/トイガンふたつの側面から解説した内容で、研究サイドからゲームファンまでひろく楽しめる一冊です。

記事のボリュームは実銃の方に重きが置かれています。三八式歩兵銃を始めとして、21世紀の現在まで無事に保存された貴重なコレクションの数々が美しい大判の写真や細部へのクローズアップで様々な角度から解説されます。


四四式騎銃の折り畳み式銃剣部分の詳細などは、イラストを描かれる方には十分に資料として役立つものでしょう。マンガ「朝霧の巫女」では大活躍だぜ。


取り上げられている銃はすべて機構が可動、野戦分解が可能な状態を維持しているものばかりですが、やはり製造から長い時代を経ていることもあって傷や痛みを生じているものも見られます。クラシック・ガンを維持することの難しさを感じる一方で、戦争末期に製造された銃の方が初期のものより痛みが激しいのは粗製乱造の実態を示すようで興味深い。


アメリカのシューティングレンジで実際に射撃を行ったレポートは読み応の多い記事です。銃身の長い三八式歩兵銃も重量バランスがよく取れていて片手でもっても安定すること、三八式短小銃の身構えやすさ、意外にも集弾性の高い二式テラ銃など、カタログデータや1/35スケールのプラモデルでは解らないことばかり(笑)


アメリカではいまでも多くのコレクターによって旧日本軍の銃器が愛好され、良いコンディションに保たれて使用可能な弾薬も販売され、実際に射撃も行われています。銃規制の厳しい日本社会では到底無理な話なので、このままアメリカに在った方が銃にとっては幸福なのかもしれませんね。フロームマイコールド・デッドハーンズでヘストンワールドからやってきたマジカルレヴィちゃんです。なにいってんだ俺。

うん、まあ、↑の画像見てちょっとだけ「ガンダム0083」のゲイリー少尉みたいな気分になったのもホントなんだけどね。


日本では射撃はなかなか手の出し難い趣味ですけれど(最近では軍用銃かどうかの判別を「見た目」でやってるとか聞くしな)ちょっと海を渡ってみれば、貴重な銃を射撃する機会を得るのも決して不可能ではない、というガイドブック的な側面もあるのかな。こんなすてきなメガレ(メガネレディ)が射場に勤めてるんだからやっぱアメリカ最高ですね。(^^v ライター諸氏が愛好家の集いに日本兵のコスプレして行ったら大人気で引っ張りだこなんて話も載っていますが、ちゃんとTPOをわきまえているから通るのだと、そこは強調しておくべきなんだろうな…や、昔ちょっとね。


小銃だけではなく機関銃や拳銃についても解説されています。



南部九四式拳銃の設計の拙さはシアーが露出しているだけに限らないこと、二十六年式拳銃の機構には不具合が多いことなど実際の射撃を通じて得られる知見が冷静な筆致で記述されています。旧軍関係って稀に感情的になる文章も見受けられますが、その点は心配無用です。



後半はトイガンの解説で、タナカ・KTW・CAW・ハートフォード・マルシン各社の製品がモデルガン/エアソフトガン各種紹介されています。トイガン製品の中でもお値段の張る物が多いラインナップですが、それに見合った素晴らしい完成度を誇る逸品揃いでもある。タナカの「九七式狙撃銃ヴィンテージブルーフィニッシュ」はモデルガンの域を大幅に越えてベッドで添い寝したくなるような!!!(待て変態

より実銃に近い製品を挙げていく編集内容なので、みなが一度はお世話になったマルイのエアコキ十四年式が載ってないのは仕方が無いか。それだけちと残念なのですが、いろんな読み方のできる面白い本だと思われます。

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