ブロンコモデル「1/35 米英・女性後方支援補助兵士4体」

近年アイテム数が増加している1/35スケール女性フィギュア、ブロンコモデルの本製品は女性の社会進出や権利進捗に大きな影響を与えた第二次世界大戦当時の女性兵士をモデル化しています。

米軍2体、英軍2体の4点セット。すべてジャケットにスカート姿の勤務服での立体化です。ストッキングのカラーが米軍英軍で異なる質感なのは、当時の両国の服飾事情を反映しているのかな?絹の布地が軍用に供出されて(火砲の装薬に用いられた)、その結果ナイロン・ストッキングが広く普及したのがたしかこの時期だったかと…思うのですが……しかしファッションについてはファッショほど詳しくないので深く追及しない!


ランナーはそれぞれ完全に独立しています。例の人民解放軍パレードのシリーズと同じような構成で、どのフィギュアも歩行ポーズではあるので複数製作すればパレードさせるのも不可能ではないかな?女性軍人だけでぞろぞろ並んでいるのはあんまり米英っぽくはないですし、第一みんな同じ顔ではとんだクローン軍団ですがな。


トルソー部分の造型は非常に優れていると申しあげられましょう。大戦勃発直後に米英で女性の動員が開始された当初は、被服ひとつとっても男性用の物がそのまま支給されたりといった苦労が多かったようですが、それらは暫時改善されて行きました。


スカートの裾を翻して「颯爽」と前に進むようなイメージの、ある種の理想的な造型かもしれない。


頭部は1/35スケールにあっては標準的なつくりかと思われます。現実を見よう。


こちら米軍ユニフォーム、ちょっと大艦巨砲主義的(か?)


英軍の方はポケットフラップなどデザインが違うのはもちろんなのですが、シワの質感なども米軍とは異なった造型が成されているように見えますね。


しかしどちらの制服とも、日本のマンガやアニメを見慣れているとジャケットの裾部分がそのままスカート丈に見えて困りますね。



「US Women's Army Corps, 1944」

陸軍婦人部隊(WAC)と呼ばれた女性部隊の兵士です。設立当初は「陸軍婦人補助部隊」でありましたが、1943年に正式にアメリカ軍に所属する地位を得ました。陸軍内部で非戦闘任務に従事し、終戦時には240種以上の専門職に就いた女性兵士が巨大なアメリカ軍を後方で支えていたのです。



「US Women's Auxiliary Volunteer Service, 1942」

アメリカ志願兵補助員、WACの前身となった組織の所属員。欧米ではすでに第一次世界大戦当時に女性を軍務に重用した過去があったのですが、それでも第二次世界大戦にあたって再度の組織化を行う際には反対意見、誹謗中傷も少なからず存在しました。



「Leading Aircraft Women, RAF, 1940」

国防義勇軍補助部隊(ATS)として早くから女性が登用されていたイギリスでは、1939年に空軍婦人補助部隊(WAAF)が独立組織として移管されました。空軍婦人部隊には75種類の職種が存在しましたが、特にこのフィギュアは地図位置表示やレーダー標識など、航空司令部で航空機の誘導を行う隊員を想定したものです。映画「空軍大戦略」を見よう!



「British ATS, Royal Artillery, 1940」

ATSはその前身を救急看護医療団や婦人軍(どちらも民間で設立された軍務支援団体)の自動車輸送部門に根ざしていたこともあって、早くから機械操作任務にも従事していました。特にバトル・オブ・ブリテンの時期には男女混成対空砲兵隊が数多く編成され、探照灯など攻撃兵器以外の操作を担当して本土防衛に努めました。


イギリス女性兵2体はどちらも帽子と頭部が一体成形ですが、ショルダーバックが別パーツ化されています。「谷間に負い紐」フェチな紳士諸兄にはこちらを勧めるものであります。


四体並べると似通っているようで違う服装、同じようで異なる歩幅がまるで「Gメン75」のよーである(メンじゃねー)


それぞれの状況に応じてディオラマに彩りを与えるような使い方をするのが正解なんでしょうが、いっそプロパガンダポスターみたいな割り切りで戦車に乗っけてもそれはそれで面白いかもしれません。あるいは ⊥ な形をしたステージ作って周囲に歓声を挙げる兵士を山ほどならべて第二次大戦ガールズコレクション


…さすがに書いてて無理があるぞな(´・ω・`)


なお今回の記事にあたっては大日本絵画刊、オスプレイ「世界の軍装と戦術」シリーズ「第二次大戦の連合軍婦人部隊」を大幅に参考としました。直接に本製品とは関係ない諸国の事情(例えばインド軍とか)の記述も多く、なかなか面白い一冊。

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