エアフィックス「ボーイズブック オブ エアフィックス」

由緒正しき英国式模型メーカーエアフィックス社の歴史を綴る、フルカラー印刷、ハードカバー・糸綴じの豪華本。丁寧な装幀からは模型文化に与えられる一定の社会的地位と敬意が込められているかのような印象さえ受けます。

1939年に始まるエアフィックスの歴史を、設立者 Nicholas Kove 氏の簡単な評伝から発展と進歩、現在にまで至る長い道のりと紆余曲折の全てを数多の美しいボックスアートと共に歩んでいく、そんな一冊。


輸入プラモデルが「高価な舶来品」だった時代を覚えている方にはある種の懐かしさを感じられることも多いでしょう。模型業界の未知の英国面に初めて分け入る探求者もいらっしゃるかも知れません。当ブログでこれまで紹介してきた雑誌や写真集とは違って本文記事を楽しむにはある程度英語の読解力が必要とされますが、冬の長い夜にティーセットを携え暖炉の前のウィングチェアに腰を下ろしてページを手繰るに相応しい内容です。斯様な読書に勤しむ際にはネクタイと靴下を身につけるのが紳士の嗜み。


書評者の嗜好からついミリタリー系ばかり画像を貼ってしまいますが、無論のことエアフィックスの製品は豊富なラインナップを誇り、やはり日本の模型メーカーとはひと味もふた味も異なる歴史的伝統をもつ文化の薫陶に酔い痴れる思い。そりゃこどものころからフェアリー・ロートダインのプラモデル作ってれば英国人の美的感覚が 異常な方向性を帯びる 我々とは違う種類に作られていくのも当然ですね。

そして今、まさにこの時、この偉大な模型メーカーの歴史の1ページにストラトス・フォーTSR-2、いわゆる萌えフィックスが名を連ねるのです。胸が熱くなります!なんだかミルクティーで大福食べてる気分!!(それはただの胸やけだ)



※こちらは第50回東京ホビーショーで撮影した試作品です



※コックピット周りよりもバンダイのアクションベース使ってんのが気になるw(製品には付属しません)


古きよき英国式伝統模型ソロジーを愛して病まない紳士のなかには、このように日本の萌え思想が模型の英国面を侵していく様子に眉をひそめる向きもいらっしゃることと存じます。それはむしろ自然な成り行きです。しかしこの一冊「ボーイズブック オブ エアフィックス」を通読すれば疑念も氷解!


エアフィックスの長い歴史の中には、結構ヘンな製品もある。


だって、パンジャンドラムの国だもの。


※本書とは一切関係がありません

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