一迅社「ガールズ & パンツァー エンサイクロペディア」

ガールズ&パンツァー」の世界をより深く理解するための大事典、収録項目は1150超の堂々たるボリュームで徹底解説する一冊です。


書影には可愛らしいイラストが写っていますが実はこれ(最近流行の?)太い帯で、それを外せばこのようにシックな装丁のブックカバーで覆われた、いかにも事典といった雰囲気。これならばJR常磐線の車内でも周囲の目を気にせず落ち着いてページを開くことが出来そうですが、さりとて直ちに特定されることは間違いないでしょう(笑)


B6サイズフルカラーで167ページ、本文は三段組で各項目は[人物]「世界][軍事][台詞][一般]の五つのカテゴリーに分類されています。キャラクターに対しては設定画の立ち絵を収録、適時スクリーンショットを挿入。収録範囲は映像本編はもちろんのことOVA「これが本当のアンツィオ戦です!」ならびに各映像ソフト収録の特典映像とブックレット、ドラマCD(Vol.2まで)に加えて各種コミックとノベライズまでを含んだメディアミック全般+αと非常に幅の広いものとなっています。ガルパン関連製品はすべてコンプリートしている猛者はもちろん、テレビ放送だけを見た方にも一層深く作品世界に接することが出来る内容です。


あんこうチームのメンバー5名に関しては見開きを使って大きく取り上げられています。「用語集」というのもアニメーション作品の関連書籍ではよく見られるコンテンツではありますが、しばしばページの穴埋め的に設けられたそれらよりも有志がWEB上で作成した個別の作品wikiのほうが優れた内容であるのに対し、本書の内容は非常に充実したものとなっています。もともとは一迅社発行の情報誌「Febri」のガルパン特集で生まれた記事が好評を受けて単行本化、その際にひとつの書籍として十分な内容となるべく収録範囲、解説記述を大幅に増加した経緯を受けての一冊です。(ちなみに原点となった「Febri」誌Vol.16号の表紙イラストが本書の帯に使われているそれです)


大洗女子学園の使用戦車も見開き収録。「戦車」というマニアックな道具立てを用いたアニメでありましたからもとより事典や解説とは相性の良い作品だったとは言えるかもしれません。しかしながらそれぞれの項目は例えマニアックな事柄であっても解り易く読み易く、ユーモアやウイットにも富んだ楽しい記述になっています。普通に巻頭からページをめくって十分に読み進められるこの雰囲気、ある種の世代にはこれはもう不治の病みたいなものなのですが思わず


アミバ


の項目を探したくなりますがそんなものあるわけないだろう。まその、それほど楽しかったということです。身の回りにやかましいガルパンおじさんがいたら、この本を渡しておけばしばらく黙ると思います(笑)


ページの要所には地元大洗の観光土産品が広告掲載されているのもいかにもガルパンらしくて楽しいもの。本編に登場した市街や実際の商店についても記述がありますので、いわゆる聖地巡礼のお供にもぴったりですね。実際、各項目を読んでいると新しい発見やそれまで気づかなかったことも多く在ります。なんとなく見過ごしていた描写にも情報は満ちていて、最近の関連書籍ラッシュの中でもこれはちょっと見過ごせないもの。もちろん製作スタッフ監修済みの公認された内容で、たしか杉山プロデューサーがひとりで1150以上の項目を全部チェックしたのでしたか大変にご尽力されたと聞いています。


ですから1カットテレビ放送当時の未修整スクリーンショットが載っていても、それも楽しいツッコミどころというやつである。気づいたのはここだけだけれど、他にもあるかもしれないからみんなで探そう!


直接の関連性は薄い、けれどもキャラクター的には非常に似通っているこのふたりが同じ開きで収録されているのも編集の妙というものでしょうか。奥付をみると執筆は複数のライター陣で行われたようですが、どうも記述のそこかしこに「カチューシャ推し」が見られるような気がするのはたぶん気のせいではなくて細胞はどこにでも居るということだろうか。そういうノリは嫌いじゃないですむしろ好物です(笑)


という感じで個人的にも非常に満足できる一冊でした。オススメですよこれ。


……ところで、ガルパンで軍事オタクなキャラと言えばもちろんみんな大好き秋山優香里ちゃんですが、彼女の繰り出す多彩な軍事ネタに少しも臆すことなく全部打ち返してる濃ゆいキャラが一人いるってことはあんまり指摘されていないような気がするがそれはいいんだろうか。


この人の場合は「軍事オタク」というより「軍事が本職」とゆー感じですけれど。

にほんブログ村 その他趣味ブログ 模型へ