バンダイ「1/144 HGBF グフ R35 」

TVシリーズ第二期「ガンダムビルドファイターズトライ」の話題が沸騰しているタイミングではありますが、第一期最終話に颯爽と現れて35歳以上の少年たちの魂を鷲掴みにしたラルさんのガンプラ「グフR35」です。

その昔はラスボスなど最終話のみに登場する機体というのはキット化されないことが不文律ではありましたが、本機はまさかの完全新規設計でのリリースです。HGUCグフカスタムですら弾帯パーツは旧キット流用であったというのにこの大盤振る舞いたるや。


それだけビルドファイターズ人気が大きかったことの証であり、また本キット開発時期には(おそらく)第二期製作が内定していて、休止期間中でもブームを絶やさず次回にバトンタッチするためのアイテムということなのでしょう。ギャンバルカンと並んで1stガンダム世代にも訴求するモビルスーツであります。


青のパーツは微妙に成形色のトーンを変えてあるのですが、ささやかな違いゆえに照明で飛んじゃいましたOTL



最近のバンダイ製品らしい、不定形な外枠を成すプラモデル。オプション抜きにグフ系の機体パーツだけを見ても分割の細かさ、パーツ総数は多いように思います。HGUCグフカスタム持ってる方は比べてみれば一目瞭然でしょうが、ほんの数年でずいぶんな変化です。



Fランナーはクリアーオレンジ、G1・G2ランナーは軟質系のスチロール樹脂を使用して武器関係にも贅沢にリソースが割かれています。これは完全新作の強みで、従来のパーツをよく工夫して使っていたミスサザビーとは対照的。同一シリーズで様々な設計の妙が見られるのはビルドファイターズの面白いところかな?


Hパーツはキットオリジナルのブースター枠。


シール使用は少なめ、ポリキャップも小さな枠のPC-002ランナーが用いられています。以前ウイングガンダムゼロを組んだときには新キットだから新PCなんだろぐらいに思っていましたが、今回グフという媒体でこのPCランナーを使ってみると、これまでのフォーマットと何が違っていてそれがどう製品に影響しているのかがほの見えて、なかなかに面白い。


本製品が発売されたときに最も話題となったのはこのランナータグじゃないでしょうか。「HG 1/144 グフ」とそっけなく刻まれた文字はR35のみならず開発当初から多方面への展開を予感させます。


むしろR35固有パーツのほうが「後からとってつけた」感が大きいという珍しいパーツ配置になっています。


2つあるシールド関係にも金型スイッチが設けられ、いつでもシールド一枚装備のグフを作れそう。でも思うにHGUCであたらしいグフを出すというよりはBF2期を見据えた「グフ素体」として設計されたんじゃないかなーと、それはなんの根拠もない憶測なんですけどね。さすがにオリジンにはまだ早かろうしなあ。

だからたぶんBFトライにもグフ系のカスタマイズMSがなにか出てくるんではあるまいか。そんなことを考える。


Bランナーはいわゆる新素材で、通常のパーツに混じってPCを代替する部品が混じっています。プラパーツと関節ジョイントを(ABSとは違った形で)同一枠内で成型できるのは最近のバンダイテクノロジーのすごいところで、結果共通フォーマットとなるポリキャップの使用総数を減らした上で関節構造などプラモデル設計の幅は広げていると、PC-002ランナーの持つ意義ってそういうことなんじゃないかな。ガンプラの評価ってまず外見そして可動範囲ですけれど、全体としての設計の変遷もまた面白いところなのです。


ではさくさくと組んで行きます。頭部の勘合を左右ではなく上下割りにして分割線が見えない処理にしたのは08小隊版グフカスタムでのブレイクスルーで、本キットでもその伝統は受け継がれています。ただしモノアイスリットの「目尻」がグフカスタム同様切れ上がっているのは唯一の欠点で、ここは1stガンダムのグフ様に直角に持ち上がっているべきでした。


BF最終話でのアップ画(キットの取説にもキャプチャーされているもの)見ると切れ上がってるようにも思えるのですが、その画ではモノアイスリットの切れ目のように写っているのは動力パイプのラインなんだよな。幸いパーツ分割細かいので修整も容易です、赤丸部分をちょいと削れば済むことです。


胴体は厚い胸板とボリュームのあるランドセルが特徴です。曲面主体のライン取りはやはり1st版のグフを彷彿とさせるもの。HGUCグフはグフカスタムよりのプロポーションで立体化されていましたから、本キットをベースによりTVシリーズに近いグフを作るモデラーが多いのも当然の帰結でありましょう。

1stガンダム版といえば作画ミスで画面に登場した「グフのランドセル背負ったザク」作るにはこいつのランドセルがピッタリだと、そんなん誰も作らないかもしれませんが(w;


MS-06R2を模したような脚部は膝の二重関節、足首の靴と靴底部分とに設けられた可動箇所でよく動きます。膝アーマーは関節構造に直接マウントされ、腿や脛からはフリーな位置関係。また太腿は非常に力強いラインで形作られています。この辺が細いとザクよりもパワー勝ちしている筈のグフ魅力を削いじゃうんだよな。


このキットの非常に面白いところはスカートアーマーの構造です。動力パイプの位置関係からザクほど簡単には可動化できないデザイン、08小隊版グフカスタムのキットが敢えて固定パーツとし可動よりもデザインラインの再現を重視して以来、1/144スケールプラモデルのグフではそれが踏襲されていたのですが、このグフR35ではフロントアーマーをいわゆるフンドシではなくサイドアーマーと接続することによって可動させています。これはROBOT魂でもやってないはずの斬新なアイデアで、おなじグフでもここまで違った設計が出来るものなのですねえ……

で、実はフロントスカートの一部は分割されてフンドシと一体化しているのがこの設計のキモなんだろうと思うのよね。


リアスカートに接合されるブースターは飛行試験型風なカタチです。脛のラインといい色んな追加パーツが初代MSVテイスト満載なデザインなのも、オヤジゴコロを直撃するのじゃ。


ランドセルから伸びる動力パイプは軟質素材。軟質且つ塗装が可能な素材というのも隔世の感ではありますが、その動力パイプがフロントスカートの分割線を遮蔽しているのがお判りいただけますでしょうか?デザイン画のラインを崩さずに可動を確立させる、実に巧妙な処置です。


上腕のロール機構から手首のボールジョイントまでをわずか3パーツで構成する腕部の簡易フレーム構造。ウイングガンダムゼロを組んだときにはこのことのすごさがよく分かってなかったな(汗)


腕部は非常によく動くのだけれど、ここでポリキャップが使われているのは肩ブロックの一箇所だけ(肩アーマーはポリキャップと同型のパーツをBランナーから持ってきます)で、その分ポリキャップを他の用途にまわすことが出来ます。パーツの加重が少ない部位ならPCでなくてもよいし、PCの数で可動箇所の限定を受けることもない。非常に設計自由度の高い構成をしている訳で、プラモデルの自由度がアニメデザインの自由度にも波及すれば面白いことになりそうではありますの。


バルカンポッドは装備というより基本構造の一部らしいので装着して全身を前後から。胴が長く脚が短いプロポーションは実にこう、見ていて親近感を覚える。しかも強い。ラルさんかっけえなあ、世界大会ってなんだったんだろうなあ。


バルカンポッドの銃身は曲がります。グフの指バルカンは銃身なのにグニャグニャ曲がるのはヘンだろうと、グフカスタムやMSVの頃でさえ真っ直ぐな銃身然としたものになってしまいましたが、でも1stガンダムってすごく遠未来な世界観でしたから、銃身かつ自由に曲がる素材が在ってもそれはそれで「リアル」なのではなかったのかと、シャボン玉で装甲を修繕したりバギーがいきなり空飛んだりするとかゼータ以降無かったことにされた設定をいろいろと思いつつ。


フロントスカートの可動もご覧の通りです。1/144スケールのザクがF2ザクでフォーマットを進歩させたように、グフR35も一世代進化したグフのプラモなのでしょうね。ああ、次はドムが怖い(笑)


ヒートサーベル×2、シールド×2、ヒートロッドは一本のみですが腕部の射出口は別パーツ化されていますのでパーツ請求等で簡単にヒートロッド2本持ちにすることも出来ます。


キットオリジナルのブースター。「オプションバーニヤ」なんて書いたら昭和っぽくていいなあ。3種類のジョイントパーツが付属するのはいかにもビルドファイターズ風味です。


フル装備させるとなかなかの迫力です。が、本編では未使用アイテムなのである……

まあ本編では珍庵和尚のマスターガンダムとコンビ組んで流派東方不敗みたいなその、もうあのふたりだけでいいんじゃないかな的な大活躍でありましたが。




ブースターは3パターンで接続可能です。1stガンダムでランバ=ラル隊が使用したパーソナルジェットと「0083」でF2ザクが装備していたラケーテン・ガルゲンをニコイチしたようなデザインで、ジオン系のMSとは相性が良さそう。ボトムズ的でもあるかな。


ヒートロッドは軟質プラでよく曲がるのですが、どこまで曲げてよいのかどうか、おっかなくってあんまり曲げられません(笑)銃や剣とは違ってムチの格好良い構え方というのも判然としないものでありますが

そうだ私にいい考えがある!隣にのーべるがんだむとか立たせて(ゲス顔


ヒートサーベルは脚部のホルダー以外にシールド裏面にも保持できます(このまま腕部に取り付け可能です)。やはり今後の展開をいろいろ見据えたアイテム開発のようで、同時期に完全新規開発(でしょ?)されてるウイングガンダムフェニーチェリナーシタは、はてどんな設計になってますことやら。あーでも可変MSはあんまり自由度高くないかもなあ。


左右にボリュームのある機体なので、それを活かしたディスプレイ、ポーズ取りが本機の魅力を高めてくれるでしょう。それこそマスターガンダムと並べるのもよいでしょうが、


「ザクとはホントに違うのだよ」でアムロ君をまっぷたつにしちゃってもそれはそれでエエんでないかい?


やー、1stガンダム放送当時「ガンダムがグフに勝ったのはビームサーベルが2本あったからでズルい」なんていってた親ジオン派のガキがいてだな。


・・・それも私だ(遠い目)



で、実際どうなんでしょうねビルドファイターズトライ。設定上は7年後なので「厄年の巨星」グフR42が出てくるのか、それともラルさん永遠の35歳なのか……

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