大日本絵画「アーマー・モデリング 2014年04月号 (Vol. 174)」

関東地方はようやく春の足音も聞こえてきそうな陽気となってまいりましたが、AM4月号の巻頭特集は「冬季迷彩塗装秘伝ノ書」です。

ひとくちに冬季迷彩といってもやり方は様々でして、大事なことは塗り方よりも落とし方、でしょうか。アルコール溶剤を使ったりシリコンバリアーを使用したり、マテリアルの特性を活かしたいくつもの塗装方法が紹介されています。白さを引き立たせるための下地の作り方、ウェザリングにも留意すべき点があることをわかりやすく解説しています。


素体となるキットも二次大戦ものから現用まで様々ですが、どの技法がどの時代にマッチしているということではなく、それぞれのテクニックをただ模倣するだけでもなく、上手く応用を利かせて自分に見合ったスタイルやマテリアルを見つけ出すことが大事なのでしょう、もうじき発売を控えたタミヤのナースホルンをボックスアートのように冬季迷彩でのための、ちょっとした予習の意味合いもありそうな特集です。


変わった所では白一色の国連カラーの仕上げ方や、塗装ではなく擬装で雪中迷彩を施す陸上自衛隊車両の作例も冬季迷彩の応用として挙げられます。「陸上自衛隊は車両に対して標準塗装以外の迷彩を施すことは基本的にない」という記述には、やはり積極的に冬季迷彩を行わなかった旧日本軍戦車と似たような空気を感じるものですが、


今月号には大変珍しいことに冬季迷彩が施された旧日本軍車両の記録写真が掲載されています。ファインモールドの秘蔵資料とのこと、白い日本戦車はこれまで主に洋書関係のイラストや想像力豊かな模型で拝見したことはありますが、このように実物資料を目にするのは(個人的には)初めてのことでありまして実に貴重だ。


八九式中戦車のみならず九二式重装甲車や九四式自動貨車など、どうやら部隊単位で白色塗装を施していた模様。独立混成第一旅団隷下の渋谷支隊とのことですが、もし独混第一が早期に解散されなければもっと色々……などと思うのは贔屓の引き倒しか。詳しい塗装素材などは流石に不明ですが、石灰を溶いたような質感を再現するには伝統的なアクリルガッシュ筆塗りがいちばんですね。


特集とは関係ないのですが「シリーズ 陸自ウォッチング」の今月は東富士演習場の記事が、おりしも関東地方の2月豪雪を受けての時期で積雪量の多い写真となっています。


個人的な見どころは通常は1/2tトラックを使用する指揮官車両が積雪量を考慮して73式装甲車に代替されているところで、積雪状況下での装軌車両のアドバンテージはやはり偉大だという案配か。最近陸自は装輪車両増やしてますけど、ホントにそれでエエのかなぁ……

なんてことも思ったりだ。


そのほかの作例ではブロンコのパンツァーベルファー42ロケット自走砲、ファインモールド+MRモデルバウによる四式軽戦車ケヌ、タミヤの古いsd.kfz222をパッションモデルのエッチングパーツでツボを押さえたディティールアップなどが掲載されています。また新生なったキヤコンのレポート、AM誌上での「トランペッターコンテスト」の募集と5月の静岡ホビーショーに併せて開催される「モデラーズクラブ合同作品展」内で催される「プラ美スカウトコンテスト」の告知もありで見どころ読みどころいろいろです。


毛色の変わった所ではオンラインゲーム「World of Tanks」に登場するパンターF型7.5cm100口径(!)砲搭載型がオモシロ。戦車模型界隈でも WoT 人気は相当高いものがありまして、だれ一人知らないようなマイナー車両が実装されるや一夜にして有名どころになったりキット化されたりなんて現象もあったりします。トランペッターから近日発売予定のオブイェークト704自走砲(別名Jsu-152 1945年型)なんてまさしくその流れでしょうから、戦車ゲームはパンツァーフロントで十分!(キリッ) なんてPS2派な戦車モデラー諸氏もオンラインゲーム動向には目を配っていて損はないのです。


損はないといえば毎回有用な情報の多い「ダイオラマ・パーフェクション」今月の連載は樹木の作り方を解説していてこれは全方位のモデラーにとって読んで損のない内容。専門的なマテリアルから身近な素材まで、ちょっとした工夫で段違いに見栄えがするものです。たとえ単品車両派でも、益するところは多いでしょう(植栽擬装の作り方とか、応用利きそうです)

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