メディアワークス「有人潜水調査船 しんかい6500」

サブタイトルには「模型と写真で見る『しんかい6500』の活動と実績」とあります。JAMSTEC独立行政法人海洋研究開発機構)が運用する深海調査船の、ビジュアル重視な資料集です。

一年ほど前に出たムックですけれど、最近じめじめして蒸し暑い日が続きますから、ここらでいっちょガツンと冷えるような一冊を…ってな感じでどうでしょう? タイミングとしてはしんかい6500が推進機周りを中心に改修された時期の取材なので、新型装備の解説とそれによる調査能力の向上についての記述が大きなボリュームを占めます。


今週末(6/22)に予定されているニコニコ動画でのライブ配信の前に、ちょっとした予習として読める内容と言えましょうか。中継カメラはおそらく当然のように船内からのものでしょうから、お手元に資料を置いておけば船体各部の働きや、当日その時々の姿勢制御など理解を深められるかもです。


洋上での実際のオペレーションにも密着取材、Q&AコーナーやJAMSTECスタッフインタビューのページは模型雑誌の域を超えて一般科学雑誌的な内容となっています。


ダイバーによる海中撮影や活動中の船内の様子、推進機と共に一新された新型の操縦装置(豪勢なゲームコントローラーのようである)など見どころ・読みどころの多い記事内容に加えて、


模型誌的なあるいはメカ好き向きなアプローチとしては、推進機の交換と船体各部のメンテナンスの様子を三カ月にわたって定点観測した取材が非常に興味深いものです。


なんだか機械的なマグロの解体ショーみたいではありますが(笑)すべての機器を取り外してフレームと耐圧殻だけになったしんかい6500の姿は、この先そうそう見られるものではないでしょう。


深海調査船というのはどれも大抵似たようなカタチになるものですが、あらためてしんかい6500の姿を見るとチョウチンアンコウのようなスタイルです。

ハッ、あんこうといえば(ステマ禁止)


模型のページでは話題となったバンダイとハセガワのインジェクションキットを用いた作例が紹介されています。


推進機改造型はキットリリース前の出版タイミングだったのでバンダイ製のものを改造作例。製品版が入手できる現在でも、金属素材を様々に使ったディティールアップの詳細はモデリングの参考となるでしょう。


セガワの小さなキットはディオラマ仕立てで紹介されています。こちらもいまでは推進機改造型がラインナップされていますから、あらためて何か新しい情景のアイデアが、前述の二コ生および今夏開催予定の国立科学博物館の特別展「深海」などをきっかけに生まれたりはしないだろうかと、後者は潜水艇よりはイカがメインのイベントなのですが、あ、でもしんかい6500の実物大模型の展示もあるのか、模型的なみどころも多そうですね。


イカと潜水艇といえばこんなものがありましたが、そーゆーのをしんかい6500でやってもいいよなとふと思う。深海には夢、ロマンも必要であり……


運航チーム司令櫻井利明さんがバルサ材やペットボトルからフルスクラッチした一品ものの逸品には、夢やロマンを超えた愛を感じるものであります。



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