モデルファクトリーヒロ「ジョーホンダレーシングピクトリアル #22: フェラーリ 156/85, F186 」

ジョー・ホンダレーシングピクトリアル、第22巻はターボ時代の1985〜86年F1グランプリに投入された2種のフェラーリマシンを取り上げています。

F156/85とその進化型F186。1985年にはミケーレ・アルボレートがカーナンバー27を駆って当時マクラーレンTAGのアラン・プロストとチャンピオンシップを争いランキング2位、フェラーリチームもコンストラクターズで同じく2位の地位を占める活躍でした。が、しかし翌年の成績は振るわずカーナンバー28のステファン・ヨハンソンは2年でチームを去り、以後長く続いたフェラーリ低迷時代とその入り口になったようなマシンであり。


マシン自体の評価は微妙なものかも知れませんが、本書内容はこのシリーズの安定したクオリティを保っています。ティーポ031エンジンの美しい配線と配管もご覧の通りに美しいフォトで掲載され、相変わらずスキャン&トリミングする行為には若干罪の意識が(笑)


空力付加物でけばけばしく飾り立てられた現代のF1マシンがある種の女性ファッションのように苦手な方でもご安心なシンプルライン。例えて言うならこれはボディ・コンシャスでありましょうか。ボディコンも80年代後半の産物でしたな(遠い目)


時にターボ時代のF1マシンってハコがそのまま走ってるような無造作な形状のクルマも散見されるのですが、このシンプルなノーズが見る方向によってがらりと印象を変えるのはさすがの曲線美でもあります。ハーヴェイ・ポスルスウェイトの手腕ならではということかー。


本書の特色としてジョー・ホンダ氏以外にもう一人、日本人フォトグラファー清水勇治氏が撮影した1985年ベルギーGPのフォトが収録されています。整備中のピット内での撮影も多く他とは若干毛色の異なるページ内容。


それだけではなく対象物との距離感や構図、光と影のバランスなど、一枚の写真を撮影するために必要な感覚やプロセスはフォトグラファーひとりひとりによって全く異なる事象であることが見て取れます。(さすがにこのような写真集を好む読者にそんな人はいないと思いますが)写真家の仕事がただシャッターを切ることだと思ったら大間違いです。いや、「よい写真家の仕事が」ですねハイ。自戒自戒。

このとき清水氏は初の海外取材だったそうですが、本文で紹介されている大先輩のジョー・ホンダ氏から撮影済みフィルムを預かった顛末のエピソードは大らかで微笑ましい時代のF1ならではかなーと思います。人もマシンも素朴だった最後の時代って言い切ったらオーバーですけれど。

本シリーズの用法としては「キットのディティールアップに最適です」って書いてれば概ねまとまるのですが、いかんせんF156/85、F186とも全然キットがありません。いや皆無ってわけでは無くて昔はスタジオ27やもちろんモデルファクトリーヒロから複合素材キット(未だにガレージキットと言ってしまうな)が出ていましたけど、さすがに絶版です。また模型趣味の冥府魔道に足を踏み入れれば過去にはプロターからインジェクションで出ていたらしいのですが……



あまりそういうことは考えずに、ただただこの麗しい曲線と美しいカラーリングを愛でる、その為の一冊としていかがでありましょうか。


あと、F1で萌え女体化やるならこの辺だろうと思うの。

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