マスターボックス「1/35 欧州農業用馬車 4輪 (馬無し)」

世に初めて蒸気自動車が生まれた頃には「馬無し馬車」などと呼ばれたそうですが、そんな交通機関発達史とはまったく無関係に単なる馬の無い馬車です。

1/35スケールで馬車(荷馬車)のプラモデルと言うと古くはエッシーのものが有名で、というよりそれしか無くて、あらゆる戦線のディオラマで同型の馬車が大活躍していましたがご存じの通り今やエッシーの時代は遠く過ぎ、現在ではマスターボックス製の馬車プラモが急速に普及している模型シーン。そしてちゃんと馬つきもあります。


モノがシンプルな分箱裏の完成見本はいろんな角度からの写真が掲載されていて実に役立ちます。何の役に立つかは作ってみればわかります。


一枚のランナーに全部まとまった、フィギュアモデルのようなパーツ構成。


両面印刷の組み立て説明書が封入されています。農業用と言うことで所属部隊のマーキングデカールなど有りはしないのですが、ドイツ軍の馬匹部隊ってやっぱドイツ軍的に所属部隊のマーキングとか車両ナンバーとか書いてあったんだろうか?道路標識の解説までやったことがあるAM誌の北村裕司氏連載でも、馬車の記述は見覚えないな…



個々のパーツを見て行きますと車輪の外周にある鉄輪や六角ボルトなどの金属部分のディティールはしっかりしているのですが、



本体の木目表現は皆無なのでそこんところディティールを追加していくのが宜しいかと。実物を参考にして…と言えればよいのですが、この時代って合板じゃないよね?いまどきは大抵ベニヤ板が使われてるもので、切り出し・削り出しの板材で作られた荷車を実際に見る機会は少なかろうと思います。


組み立てそのものは簡単な行程ですが、全パーツにくっきり残っているパーティングラインを削り落す作業がやや面倒、やや。そして取り付けピンがひとつもはまらないのでピンを切るか軸穴の方を広げるか、状況に応じて加工が必要です。

この状態での写真がなにかいかがわしい拘束器具に見えた紳士諸兄はただちに病院へとゴーです。


アートナイフ一本あれば楽勝でこなせる加工過程を経て完成。あまり言うこともない…

車体の中央から伸びた一本の棒(馬具の詳しい名称を知らんのです…)の左右に家畜をつないで二頭立てで扱うタイプのこの馬車、現代でも旧東欧圏あたりではよく似た形状のものが使用されているそうです。


ルーマニアトランシルヴァニア地方の馬車。AM1997年10月号掲載記事よりって15年前かよもう。


あまりうれしくもない四面図。なんだかカブトムシのようでもあり…(言ってることに相当無理があるぞ)


ちなみに前輪は右に!


左に!!自在に可動できます。なかなか小回りの効きそうな作りですね。

あ、車輪はやっぱりハメ合わせがきつくて車軸が全然入らないので、拡張した上がっちり固定してあるのでひとつも動きません。


それと各車輪の外周部分にはそれぞれ四つのリベットがモールドされているのですが、パーティングラインを落とせばいっしょに消えちまいます。計16箇所のリベットを復元するのはなかなかにメンドーくさいとマスターボックスのなかのひとも思ったようで完成見本でも消えたままなんだな、これが。いやー、役に立つでしょパッケージ裏。


一応キットには不要パーツとして牽引具も付属していますが、無理にどこか他から馬を調達してくるよりは情景用のアクセント小物として使う方がスジでしょう。最初からそれを企図して販売されている製品だと思います。

figmaとかの可動フィギュアに引っ張らせてみたら面白いかなーとも考えたのですけれど、1/35スケールの馬車を約1/12スケールの人間に引っ張らせるのはどうしてもサイズ的に大きすぎて不自然です。ねんどろいどぷちぐらいの大きさで手足が自由に動くような、そんな便利なものがあればエエのですが、世の中そんなに都合よく…


 あ っ た よ 。


ドロロ兵長が涙目なのは青のバックに青のボディーカラーでは存在感が希薄になるからでアリマス。


末尾ながら、故・川上とも子さんの声優アワード特別賞受賞にお祝い申し上げます。「祝う」という気持ちが果たして正しいのかはわからないのですが、それでもやはり。


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