ハセガワ「1/72 ブラックラグーン号」

広江礼威原作コミック/マッドハウス製作アニメーション「Black Lagoon」に登場するラグーン商会の運送船…いや魚雷艇…いいかとにかく持ち船の「ブラックラグーン号」、1/72スケールプラスチックモデルです。

はじめてハセガワからアナウンスを聴いた時にはいろいろ滾ったものですが、実際に発売なった製品の中身がレベル製の古いキットだと知っていろいろ萎んだのもまあ、事実です。上級者向きです。


こちらが現レベル製、1960年代に開発されたパーツです。オリジナルはレベルだったかモノグラムだったか、遥か昔に製作されたブツだけは見た覚えがありますが、その時はグレー成形だったような…レベル版としてはこちらになりますか、ジョン・F・ケネディ大統領の乗艦として有名なPT−109がともかくオリジナルです。はっきりと明言されたものを読んだことは無いのですが、コミックの作画参考資料に同キットが使用されてるんじゃないか…と、思われます。


ちなみに現在の製造元は Made in China であります。急にロアナプラ風の胡散臭さが漂う(笑)





言うても昔のプラモデルですから、部品点数それほど多いものではありません。組み立てるだけなら簡単な話で、上級者向けとされるレジンパーツだって物の数ではありません。ですが、「綺麗に」とか「丁寧に」とか枕詞をつけると話はいきなり上級へとハネ上がる。テクニックと言うより折れない心とかそういうメンタル面での上級モデラー向けであろうかと…


特に船体にマーキングなどは無いのですが、展示ベース用のステッカーが付属します。せめて切り取り線ぐらい入れてほしいとこですけれど、自分で切り出さなきゃーなりません。その辺のお手軽さが、どうもな。

オリジナルのPT-109用のデカールも一応付属はしますが、しかしどうしろというのだ一体。


英文の組み立て説明書ではまず船尾艤装品の接着から始まってますが、歪みも見られる上下船体パーツをまずはガッチリ接着したほうが宜しかろうと思われます。


その上で船体上部の構造物から始めていくのが精神的に落ち着くかなーといった塩梅です。


レジンパーツ使用部分その1。ブラックラグーン号のモデルになったのはエルコ社製80フィート級PTボートなのですが、標準武装のひとつであるエリコン20ミリ機関砲が砲架台ごと撤去されています。甲板から架台を切断した後の穴埋め部品がレジンパーツUR1です。なんかもちょっと色気のある部品ないのー?とか思うかもしれませんけどこの「対空砲がない」ってのは重要で、第一巻冒頭の#0(雑誌掲載時は読み切り作品)「Black Lagoon」に於けるラグーン号とMi-24Aハインドとの死闘場面にもし対空砲が備わってたら…


一発で話がおわっちゃいますがな(´・ω・`)


そいえばハセガワにはハインドAのキットがありました。奇しくも同スケールである。広江先生もデスク上で2体のカチコミさせたりしてたんですかねー。


「単行本○巻のあの場面はきっとこの辺りで…」などと考えながら組んで行くのがこのキットの楽しみ方なのかも知れません。よかった探しも度が過ぎるとポジティブを通り越してただの現実逃避ですよポリアンナさん。


一応、船尾付近。3機のエンジンで3軸推進、スクリューピッチは全部一定方向だけれど回転数が高いんでトルク偏向が発生しなかったってスゲェなPTボート。


台座にはPT-109の名称と船影が刻印されているのでその部分を裏返した上でロゴステッカーを貼り付けるかなり乱暴な仕様(笑)ジョン・F・ケネディのある部分を象徴するPT-109にロック以外は全員アメリカ出身のアウトロー達が乗り込んでいる黒い淵号とゆーのもナニヤラなにやら暗示的ですな(概ねこの手の話題は単なる考え過ぎです)


特に指示は無いんですがフィギュアと左右銃座の連装機銃は取り付けずに完成です。実は舳先の辺りの支柱を一本折って焦ったんだけど、完成見本では四本あるワイヤー支柱ですら取り付けていなかった…(説明書ではワイヤーロープをのばしランナーで製作するよう、指示があります)


レジンパーツ使用部分その2。パラボラアンテナがついてないとベニーさんが仕事してくれません。大事だ。


連装機銃を取り付けなかったのは原作に従ったのですが、実は原作コミックで時折、特にアシスタントの方が作画されたと思しきロングのカットを中心に、左右銃座に連装機銃が描かれているコマが見られます。プラモ見ながら描いてるんだろうなーと、そこは親しみを覚えるところなのです。

ところでダッチはどんな伝手でMk13魚雷なんてシロモノを入手してるんだろうか。聞くだけ野暮かそんな話は…


1960年代に開発されたプラモデルが今になっても一応の鑑賞に耐え得るのは、当時の製品開発が確かだったことの証になるとは思います。然しながら何故にハセガワがこの商品をリリースしたのか、正直なところよくわからないのもまた確かです。1/72スケールの魚雷艇プラモデル、サイズとしては実に手頃で1/35の巨大なものや1/350の小サイズよりも親しみやすい模型ではある。


――でもなあ(´・ω・`)


「ああいうものを、真っすぐ見るな」ってのもBlack Lagoon の名台詞のひとつです。だから、この記事はここでお終いなんです。


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