モデルアート「1/700 艦船模型データベース #2」

日本海軍艦艇編第二弾、第一巻と併せて読めば、現在市場に流通しているインジェクションの艦船模型を網羅することが出来ます。

ところで

この「艦船模型データベース」というタイトルからちょっとおなかがすいたので「タベ」の二文字を食べてしまうと


「艦船模型デーース」


ん、特に深い意味はないですし今回金剛は載ってませんが「駆逐艦島風』もバッチリ掲載!」なんて表紙に書いてあるもんですからね……


今回掲載されているのは日本海軍の空母重巡洋艦駆逐艦とそして潜水艦の一覧です。内容については前回同様キット本体の素生を解き工作ポイントなどを示すもの。実際の艦艇についても開発史上の位置づけや各艦の戦歴など、短いながらまとまった解説が掲載されています。


一航戦の「赤城」「加賀」をはじめとした航空母艦は人気が高く、多くの艦が近年リニューアルされた新しい製品です。しかし中にはまだ開発年度の古いキットで現役のものがありますから、各製品ごとに記述されている初出年のデータはキット内容を知るためには重要な指標となるものです。古いキットだからと言って必ずしも悪いということではないのですが。


リニューアルの割合でいえば重巡洋艦の方が高いか。こちらも昔から人気の艦種です。それまでは静岡三社(+フジミ)製品とのバッティングを避けてきたピットロードが真っ向勝負に出始めたのは高雄重巡の時でしたでしょうか? 現在の開発技術ではメーカー間にそれほどの差異はみられませんが、製品ごとの時代考証や細かな設計解釈の違いを良く知って、ご自分の一隻を選んで下さい。


駆逐艦の章はかなり重要かと思われます。メーカー各社から新旧混合、バッティングも様々に製品が流通していますので、稀に大時代的なものを引いたり実は同じ製品内容だったりなんてこともままあります。少し前なら「小松崎茂イラストのキットは古い」みたいな識別方法も通用しましたが、昨今新製品も増えていますのから精度の高いデータベースで結論を導き出しましょう。


特に最近人気の高い「島風」はタミヤが1970年代にリリースした古い製品がいまでも変わらず現役です。「このキットより俺の方が若いぞ!」と驚かれる提督も多いのではないでしょうか。同じくタミヤが70年代に開発した空母「隼鷹」のように現在でも通用するものがあるのも確かで、やはり古い=悪いではありませんが。


当時タミヤはバリエーション展開の効かない両艦をよくぞ発売したものだなあと思いつつ、そろそろリニューアルしてもいいんじゃないでしょうか特にぜかましさんの方は。


潜水艦のパートでは童友社「世界の潜水艦」シリーズ唯一の日本海軍艦である伊400ももれなく掲載されています。アオシマの限定を除けば1/700スケールでフルハルの伊400ってこれだけか。いやホビーボス版もありますけれども。

巻末には別売りエッチングパーツの一覧が主要キットメーカーに加えてエデュアルドも含めて掲載されています。ピットロードやファインモールドの製品については生産休止・絶版商品もあるのでご注意。


模型とは直接関係ない記事ですが「機関科士官の目線で語る軍艦『伊勢』『北上』『酒匂』の実像」と題された阿部徹氏へのインタビューは大変興味深い内容です。「機関科」という部門旧日本海軍にあっては複雑な立場にあり(詳しくは「海軍機関科問題」などで検索してみて下さい)、また戦闘配置が艦内の奥底ということもあって戦没時に犠牲者の多い職種でした。阿部徹氏も「北上」乗艦中に米潜水艦からの雷激を受け、幸いにも一命を取り留められて当時の貴重な証言を今に伝えてくれています。艦籍の古い「北上」に少尉任官して気落ちしたこと、しかし被害時と修復作業に於いてはベテランの乗員を中心に団結して対応できたこと、新鋭巡洋艦「酒匂」は機械設備は優秀でも船体各所は戦時急造で仕上げの粗いものだったことなど。どこの海軍でもそうなのでしょうが、巡洋艦の任務は常にハードワークを強いられるので平穏な時代に「読み物」として接すればそれは楽しいものでね……


普段は棚の隅の方で納まっているアオシマの「沖鷹」はじめ護衛空母三部作、キット内容を見てみるとなかなかユニークで意欲的な作りですね。イマドキは「艦これ」との 丸乗り コラボレーションの観点で語られることが多い艦船模型ですけれども、あまりそのことに傾注せず、純粋に模型製作本来の楽しみを見いだせればそれでいいのだろうな、と思います。(あくまで個人の感想です)





ところでなぜ「響」のCVに上坂すみれを起用しなかったのか、海軍としては運営の決断に反対である。

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