バンダイ「1/144 HGUC ゾゴック (ユニコーン Ver.)」

HGUC最高傑作とのウワサも聞こえてくるシリーズNo.161のゾゴックです。

まーしかし、もうそんなになりますかHGUC。プレミアムバンダイのサイトでは歴代マスターグレードの人気投票やってましたけど、HGUCでやっても面白い結果が出そうです。これまで個人的には無印GMがベストだったのだが……っていつの話やねん。






シリーズ初期のラインナップが1000円を切る価格帯だったことを考えるといろいろ隔世の感もありますが、お値段に見合うだけの十分なボリュームでパーツが詰まってます。クリアーパーツのランナーが大きめなのは特徴といえるかな?


ポリキャップはPC-132をメインにボールジョイントのPC-7を併用する構成です。


OVAガンダムUC」第4巻での大活躍を受けての立体化、非常に気合いの入った設計が成されています。が、このブログかいてるひとはゆにこーんをみていないのだ……まあどんどん行きまっしょい。


モノアイ基部はポリキャップを用いたボールジョイントで可動します。レンズ部分は美しい曲面が出ているのでここは塗装で仕上げたいところ……


普通にシール貼ったけどな (´・ω・`) 左右の三角窓(?)部分と上方へのスライドレールにはモノアイを指向出来ないのは残念じゃが仕方ない。HGUCで言うとゾックみたいな設計であればモノアイ位置を自由に設定できたかもしれませんが、ボールジョイント可動のお陰で視線を確実に決められるので、むしろこっちの方が遊べます。


正面のグラス部分は後ハメ式になっていて、完成後でもモノアイ部分を動かせるのです。これが面白くて製作中でも色々動かしたんだけど、そういうときにはちゃんと指紋をぬぐっときましょう (´・ω・`) ネ。


ブーメランカッターが綺麗に並んで行くのは気持ちが良い。ゾゴック自体が他に類を見ない形状をしていることもありますが、いろんなところに新鮮な印象を受けるガンプラではあります。


股関節は大型のパーツを使用していて、いわば腰ブロックのフレーム構造です。ここに限らず身体各所が簡易フレーム+外装で構成されていて、廉価版のMGみたいな作りになっているのは最近の傾向ですかしら? そうでもないか……


腰部は軸可動+ボールジョイントで360度回転と負仰が可能な設計です(画像は90度で見せています)が、普通に組むとこの構造が上手く活かせません。それについては後述。


バックパックの形状はいかにも当時の大河原デザイン且つ「アニメには登場しない」ようなユニット構成になっています。それは左右のタンク配置に顕著で、1stガンダムのテレビシリーズ向けで有ればアニメーターが描き難いような形にはなりませんし、ゼータ以降ならもっと後方に長く伸ばすんではないかな。燃料タンクが金属バットみたいになったのは誰がどこで始めたんだろう?ともあれ本キットではバックパックも分割多めで立体感に溢れる仕上がりとなっています。


さて問題の腰部関節ですが、このように可動を殺す形で動力パイプのパーツが配置されてしまいます。


さらにその上からバックパックをかぶせてガッチリ固定。F2ザクの時にはバックパックと動力パイプに遊びを持たせて可動範囲を持たせていましたけれど、今回はそういう配慮がありません。何故かと言えば公式で改造パーツがあるからです。多分この「MSパイプ」を使用する余地を、あらかじめ用意した設計なんじゃないかなこれは。この先こういったスタイルが普及するんでしょうか??


上腕部分はいわゆるところの「フレキシブルベロウズリム」をつなげていくジオン水泳部に一般的なつくりなんですけど、綺麗にスリットが抜けているんでヒデキ感激。


肘関節だけでなく腕全体で曲がる構造です。ザクとは違うのですよザクとは。「袖付き」特有の白線はシールで処理。


親指の肉抜き穴は積極的に埋めて行きたい箇所であります。ゾゴックのアイデンティティですからねここは。


足もやはり簡易的にフレーム+外装の構造で、一部フレーム部分を露出させることでスネ外縁のふちどりを再現しています。ここの設計はかなりのアイデアだと見受けますが如何。


オリジナルの脚部デザインはまだあまり可動に配慮されていない時代の形状なのですが、カトキハジメによるリファインを経て膝関節もここまで曲がるようになりました。旧キットは…これも頑張っているのだが……


足裏はしっかりふさがり推進機のモールドが入ってます。やはり最近の1/144ガンプラはここまでやってほしいものです、お値段との兼ね合いはあるとしても。


本体はこれで形となります。脚長・高身長・小顔のジャ○タレみたいな近年のオサレモビルスーツとは程遠いズングリムックリなデザインで、腕は長いし足は短い。小顔どころかそもそも顔がありません。この昭和のオッサンみたいなプロポーションが実にたまらんのですよふふふ……


横から見るとまっ平らで、全身から千早を発散しているようです。これもやっぱり大河原邦男氏によるオリジナルデザインが、まだ前後パースだけを念頭に置いて描かれていた所以かな? 06RなどのMSVを経て、ボトムズ辺りからは急速に三面図を意識した前後幅のある形状が増加したように思われますがさて。


そうねえ、20円ガチャのガンダム消しゴムを思い出す外観なのよねこれ。ガチャガチャって20円だったんですよ昭和の頃は。知ってましたかみなさん??オレハシラナイケドナ(棒)


この図版は「ガンダム MSV ハンドブック 復刻版」掲載のもの。イラストレーターの表記はないけど形に関してはこれがオリジナルと言ってもいいかな? このようにゾゴックはいわゆるアッグシリーズと共にMSVの一環として位置づけられることが多いですが、厳密に言うと出自は違っていて、初出はTVシリーズ放送終了後に出版された「機動戦士ガンダム記録全集」になります。MSVの発端となった「ガンダムセンチュリー」には記述が無いんだなこれが。新規に設定が起こされたMSVの各機体とは違って「テレビには登場しなかったまぼろしのモビルスーツだ」のような扱いでしたね当時はね。


いわゆるガンプラブームの末期、とうとうリリースするアイテムが尽きた(!)ために番組製作時に没案となったMSデザインをクリンナップした……というのが正しいのですが、放送当時はどこまで描かれていたんでしょ? いわゆるトミノメモにはすげえカタチのラフデザイン画が残されていますが……(このイラストはいろんな本に載ってますけど今回は洋泉社刊「ガンダム・エイジ」の掲載イラストをスキャンしました。AGEとはちょっと違うんだぜ?)


やはり大河原邦男先生は偉大だということでしょうか? 右下のゾゴックじゃなくてその上、ズゴックのラフ画を見れば一目瞭然です。「複眼」ってなんだ……


キットに戻ってオプションパーツ一覧、ここからはゾゴックの武器の説明をはじめます。


おっとその前に、邪魔な動力パイプは外してしまいました。これが無くても全然違和感ゼロなのは良いんだか悪いんだか……


ゾゴックと言えばパンチです。ゲンコツで殴ります。機動戦士ガンダム初期の構想では劇場版第三作「殴りあい宇宙」で大活躍する予定は全然ありませんでした。

しかしその、ロボとパンチってしばしば相性が悪くて「精密作業するマニピュレーターで格闘をやるわけがない」とか「殴ると拳が壊れる方がリアル」みたいな空気が稀にありますね。どこにあるか具体的に書くと怒られるのでそれは言いませんけれど、私は声を大にして言いたい!巨大ロボットを作れる科学力があるならば、殴っても壊れない拳を作ることなど朝飯前ではあるまいか。篠原重工より兜十蔵博士のほうが偉いぞ。天照の帝も少しはアストラギウス銀河の人々を見習って下さい(言っちゃったよ)


伸縮式のアームパンチは延長ユニットを追加することによって再現。いろんなものが伸び縮みするのは1stガンダムではよくあるテクノロジーでしたが、なぜか後の世代ではロストしてしまいました……


延長ユニットはもちろん左腕にも有り。ブラウブロとかパプリクとか、連邦・ジオンを問わずによく伸び縮みしていたものです。「宇宙船のひび割れを治すシャボン玉」とか「タイヤがホバーユニットになるバギー」とか、いかにもアニメなテクノロジーは「リアル」の壁に阻まれ消えて行きました。


連結するとストローク倍増し。近藤和久の「ガンダム0079」に登場したゾゴックは手も足もよーく伸ばしていたように思いますが、考えてみればあれはトミノメモのラフデザインに準じていたのだろうか。「リアル」ってなんでしょうね? ロボットアニメ業界の「リアル」嗜好にプラモデル業界が大幅に手を貸したのは間違いないところでしょうけれど。


ブーメランカッターはいったいどんな原理で飛ばされそもそもなんの材質でできているのかサッパリわかりません。でも格好良ければそれでいい、何の問題もないでしょう? UC4巻の戦闘シーンはとにかくケレン味とハッタリが効いていて実はそこだけ見てたりする。

「ブーメラン」とは名ばかりで一度飛ばすと戻ってこない、フェアリィ空軍には採用を拒否されそうな武器ではあるのですけれど。


古い設定では腹部に「ワイドカッター」なる投擲兵装が存在する記述があります。本キットの機体解説では「本来設定されていた腹部の内装兵器を廃し、排熱機能を重視した仕様となってはいた」となっていました。なるほどあのパワフルな機動はチューニングのためか。すると当然誰もが疑問に感じるのはコックピットの位置、どこに人が乗っているのか……だと思われますが、


いつから人間が乗るものだと錯覚していた?


ここからはUC版での追加兵装、トリントン基地襲撃作戦に際しては斬魄刀もといグフカスタムのヒート・ソードを装備しています。


刀身部分を付け変えることによってイングランド王アーサーの持つ聖剣、「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」とのコンパチってそういう話はもういいですかそうですか。塗装派のひとは赤熱状態を塗り分けましょう。


背負い物も小さく靴もドタ靴なので、片足立ちが自由自在に決まります。ドラクエにこんなやついたなあ。その昔永野護が「モビルスーツはフォルムで魅せるもの」といってダブルゼータ逆シャアのMSデザインを描いていたのが、なんとなくわかる気がするこの頃です。あれもこれもみな没メカですけど。


シュツルム・ファウストは大型化されたものが2基付属。参考までにHGUCヅダのものと比べてみました。HEAT弾の破壊威力は弾頭直径に比例するので簡単に言うと大きい方が強い。史実のナチスドイツのパンツァーファウストと同じ発展です。ギラズールの装備するシュツルム・ファウストについては東横線の妙連寺と大倉山の間に「きくな」って駅がありましてねええ。


シュツルム・ファウストは後背部に二本まとめて懸架できます。白のラインはシールで再現されています。


「夏の響鬼さんはすごいよ?」って台詞が頭を過りましたけど、夏の響鬼さんは売り上げがそのゴニョゴニョだった思い出もよみがえるので精々「太鼓の達人」ぐらいで止めておきましょう。


うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ!」

いや…なんとなくね……深い意味はないんですけどね……


世が世ならジャブロー侵攻作戦にコイツが参加して「赤いモビルスーツ…シャアが来たんだ!」とか言われる状況もあったのかな? 無いです(即答)


ところでパンチするロボと言えばみんな大好きパシフィック・リム。ギレルモ・デル=トロ監督はお台場のガンダムフロントで「チェルノ・アルファのモデルはザクなんだよ」と仰られていましたが、思うにあれは物を知らないテレビタレントのために言った言葉で、どう考えてもチェルノ・アルファのモデルはこのゾゴックでしょう。ダブル・フックだ、アレクシス! え、似てないって? いやいやそんなことはありませんよ。ちょいとゾゴックの頭の上に原子炉乗せりゃ、アッというまにチェルノ・アルファが出来上がりィ!!


出来上がりません(´・ω・`)


ネタっぽい画像撮ってたらいつのまにか50近い枚数に。なんだかハッスルしたあとで急に疲れる昭和のオッサンみたいなレビューになってしまった……

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