バンダイ「1/144 HGBF ミスサザビー」

ガンダムビルドファイターズ」よりアイラ・ユルキアイネン二番目の愛機として最終決戦に投入されたミスサザビーのHGキットです。ボリューム的にはビルドファイターズ一連のHGBFのなかでも一番のサイズ。

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HGUCサザビーをベースにした成形色替え+新規造形パーツによるバリエーションキットです。オリジナルはHGUCに多色成型ランナーやABS関節が多用されていた時期の製品ですね。


元のサザビーは既にアクションベース対応済みの製品でしたが、今回のミスサザビーにはガンダムSEEDやダブルオーの一部キットに使用されていたものと同じBA1ランナーによる展示台が付属します。ひさしぶりに見た懐かしいパーツだけれど、実は1/12アナライザーにも入ってたりする。


Hランナーから先は新規造形パーツになります。この機体デザインが発表されたタイミングがエクシアダークマターと同時だったために当初は「秘書子のベイカーが使うガンプラなのでは?」などと推測や想像を豊かにさせたものですが、フタを開ければアイラの私服とおそろいのカラーリングでわがままボディ的な(何)モビルスーツでありました。


現在好評発売中の「グレートメカニックDX」29号にはビルドファイターズのメカデザイン担当諸氏による大座談会が掲載されています。製作当時のウラ話やこぼれ話的なエピソードが盛りだくさんで大変興味深い内容(笑)


石垣純哉氏もかなり面白い話を色々寄せているのですが、とりわけこのミスサザビー、初期案にはNGが出て描き直したものなのだとか。その第一案がNGになった理由はガーリー感が不足している」というものだったそうなんですけどねえ皆さん、ちょいと考えても御覧なさい。いくらファンネル使用機でキュベレイより強そうなMSだからって、サザビーといえばネオジオン総帥となったシャア・アズナブルの人生これが集大成みたいな機体で三十男の肥大した自我が形となったよーなロボですぜ?それをガーリーにまとめようだなんてカントクは小悪魔どころか地獄の大悪魔のようなひとですね。それに応じるデザイナーもすごいよなとゆー話ではあるのだが。


なんにせよ皆さんすごく楽しそうで、ビルドファイターズ好きならグレメカ29号はおススメの内容であります。


ポリキャップはサザビーと同じPC-132ABが使用されています。関節等の基本構造は同じというわけですね。マーキングシールは小ぶりなもの。


従来キットのパーツ流用を前提として新規デザインを起こすのは相当ハードルの高い作業かと思われますが、ビルドファイターズのデザインやキット内容はこの難儀をハイレベルにまとめたものといえるでしょう。キットをよく見るとデザイン上の「遊び」も発見できて、残念ながら活躍シーンの少なかったこの機体にも新しいスポットライトが当たるかのようです。


オリジナルのHGUCサザビーは古いキットではありますが、古いだけに現在のガンプラのようなアイテム越しの最適化が成されては居らず、たとえばビームサーベル刀身部分などに個性的な造形が見られます。それもまた温故知新な観点であります。


組み立ては胴体部分から始まります。このパートは新規造形パーツがかなりの部位を占めますが、サザビーの特徴とも言える大きく張り出した胸は従来からあるA17パーツを使用しています。個性は大事で胸も大事だ。

ちなみに襟元H10パーツの塗り分け部分はシール貼るのですがその、うっかり忘れた(・ω<)


対照的に頭部はほとんど従来パーツで、張り出したアンテナのみが新規造形のK4パーツです。なおこの画像ではアンテナ部分の安全基準フラッグは削り落としてありますので念のため。


腕部外装もほぼ新規パーツ。しかしいくらボリュームやバランスが変わっても基本のライン取りは十分「サザビーの腕」に見えるものですね。かなりシンプルな構造に変貌しているのにね。


ヒョウタンみたいな形の下腕装甲もオリジナルとはまるで異なるボリュームなのにカタチのほうでしっかりサザビーしています。この辺が面白いとこですねこの機体のね。肩アーマー内側のスリットにはシールが用意されていますが、今回は未使用のまま。


モビルスーツとしては珍しいことに背部には何の構造物も持たないクリーンなものです。細く絞られたウエストも含めて要はキュベレイのラインなのかな?シャアのサザビーハマーン様キュベレイは水と油みたいな関係ですけど、アイラ・ユルキアイネンの機体としてならキュベレイパピヨンの意匠を受け継ぐものか。


原型とはもっともイメージの変化した脚部。大腿部の円筒パーツもサザビーのオリジナルと同じ形のようでいてひとまわり小型化されています。キットにはオリジナルのG22,23パーツも不要部品で入っているので間違えないようお気をつけください。実際に使用するのがJランナーの22と23パーツなのでややこしいのだこれが。


側面のブーストポッド(?)はオリジナルのつま先部分と新造パーツで形を出していますが、肩アーマー4ヶ所にあった黄色いバーニアノズルがふくらはぎとかかとに上手〜く配置されてます。細かな部分の設計の妙は実際組んでみれば一目瞭然といったところですか。


スカートは短めでショートパンツかキュロットかという感じですが、内側にたくし込められたようなラインはそうだ カ ボ チ ャ だ。最近の女の子はゴム跳びやるのにスカートをカボチャにしたりはせんのでしょうかしら……ああゴム跳びなんてやりませんかそうですか……


スカート部分は四枚構造で左右のサイドスカートが大きく背後に回りこむデザインとなります。これもMSではあまり見ない処理のように思いますね。お尻から伸びてるのは小悪魔的なシッポではなくバックパックの取り付け基部。


バックパックは一見して判る通りにサザビーの肩アーマーや上腕カバーを大胆にアレンジして形状出しをしています。組み替えパズルのような応用性は「VS ASTRAY」シリーズの蓄積あってのことでしょうか。しかしここで注目したいのは新規造形パーツ群、特にファンネルコンテナであるH18,19パーツの形と接続アームでしょう。パーツだけならキュベレイのバインダーを小型化したような形状ですが、


背骨のようなバックパック基部とそこからアームを介して伸びる様は同じ石垣デザインによるヴェイガンMSが持っていたギミックやラインが明らかにトレースされています。ご存知のようにガンダムAGEの機体は権利関係の事情からビルドファイターズには未登場だったのですが、こんな形でアイデアは継承されているのだなあ。ガンダムシリーズ全体の中でもかなり異色なギミックが、宇宙世紀を代表するようなサザビーに盛り込まれているのもなんだか面白い話ではあるのよねん。


下半身だけでも並みのモビルスーツほどのサイズをもつ巨大な機体は女の子向けにしてはゴツイのですが、可能な限りスレンダーにまとめられています。肩アーマーを持ち上げるのはあまり好みではないけれど、この機体に関して言えばプロポーションを細めに見せる機能を果たすでしょう。


バックパックと本体との位置関係はこうなります。位置的には(HGUCでは割愛された)ザクIIIを彷彿とさせますが、女性的な観点で見れば腰周りで締めた大きなリボンかあるいは和装の帯締めか。マンガやアニメでたま〜に見られる「超ミニ丈の着物」を纏った女の子みたいなコンセプトなのかも知れません。ジュリアナ扇子持たせたいなあ。


機体のボリュームに比べると装備品類は控えめで、辛うじて台座パーツで絵になってるようなものですはい。


スイートソードとスイートシールドが主な兵装となります。ちなみに前述の「ファンネルコンテナ」でありますが、ビルドファイターズ本編描写ではただの一基もファンネルなんぞは使ってなかったのであった……


手持ち武器が「ソード」なもので銃の持ち手は実は不要パーツ。とはいえ何かのポーズ付けには使えるかな?あと取説には特に記されてませんけど、モノアイ可動ギミックはオリジナルサザビーのものがそのまま残ってます。


サザビーのビームトマホークではそれぞれ個別に使用されたビームエフェクトを同時に展開できるスイートソード。ビームガンとしても使用可能でミスサザビー大破の後はスタービルドストライクも用いた武器です。


スイートシールドは直接腕部に装着する他マウントパーツを介することも可能です。サザビーのフロントスカートで構成されるため(意図したものかは不明ですが)若干の可動範囲を持ちます。


シールドには両刃のビームサーベルがセットされ、


サーベルのエフェクトは脚部からも発振が可能。「ふくらはぎのバーニアとかかとのバーニアを全開にして蹴り上げることで恐ろしい破壊力を生み出す」とのことですが、ガンプラ組み立て初心者の女子ふたりがなぜこんなエゲツ無い武装を考え出したのかは謎である。あとまったく使われなかったけどサザビーに特徴的な「へそビーム」は健在なんだろうなあきっと。


付属のスタンドの他アクションベースの使用も勿論OKです。例えば携帯電話のような美しい塗装処理を施すならば、10代の女子が好んで持ち歩くような清潔感、可愛らしさをもったガンプラとして仕上げられるのでしょうがあえてこれを「逆襲のシャア」に合わせたサザビーの派生機体やなんでしたら「袖付き」に変えてしまうような、いわば逆輸入的なモデリングも十分に有り得るものでしょう。「ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ」って言葉には、そんな意味合いも含まれているのだろうなと、あくまで私見的に。


「一見すると同じような形状だが良く見ると全然違う」のは石垣MSの特徴で、VガンダムやX、それにAGEの頃は商品化のネックともなっていたように思いますが、今回はそれが良いほうに触れているかと。実際組んでみたらデザイン画だけではわからなかったことが色々と見えてきました。これで脚部にもう1軸可動部分があれば綺麗にモデル立ちが決まりそうなんですけどね。ただカワイイだけでなく、強くて大きな女の子のためのモビルスーツなのです。

だからってメイン盾に使うのはいかがなものだろうか。

……ベアッガイIIIともども。

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