所沢航空発祥記念館の零戦特別展示

あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。画像は初日の出らしきものです。

と、いうわけでお正月に所沢の航空公園に行ってきたのでした。前にも紹介しましたがただいま「日本の航空技術100年展」の一環として来日中の零戦五二型が3月まで公開されているのです。

ところでこの場所を訪れるのは2年ぶりなのですが、2年前も「日本の航空ナントカ100年」だったような気が。さらに言うならもっと前の上野の科学博物館展示からなんかもーずっと100年です。それでいいのか航空業界(笑)


展示機体はカリフォルニアのプレーンズ・オブ・フェイムから貸し出された中島製五二型、復元された零戦としては機体もエンジンも製造当時のオリジナルをレストアした、現存する唯一のフライアブルな存在です。


昨年末に開催された栄二一型エンジンの始動見学会は大盛況で(youtubeなどで今でも動画を見られます)、なんでも観客には日本中の航空クラスタ重鎮が仰山集まっていたらしい、いやはや事故が無くて何よりでしたな……。


サイパンで捕獲された「61-120」号機、古くは大日本絵画のエアロ・ディティールをはじめこれまでも各種の関連書籍で紹介されて来た機体です。飛行機については門外漢もいいところの自分がクダクダ述べるのもなんでありますからして、ここから先の記述は単なる印象論に終始することをあらかじめおことわり。


上野の科学博物館や靖国神社遊就館など都内さらには日本国内でも零戦を展示している場所はいくつかあります。個人的に零戦そのものを見るのは初めてではないのですが、やはりこうして間近で見るのは興奮するものですね。本機は十数年前にも来日してその時には展示飛行まで催行されたのですが、当時は金の無い学生だったんで到底行けなかったんですよ(w


主脚柱には萱場製作所の製造銘盤が貼付されています。1/32スケールならデカールで行けそうだナーとか、そんなことしか考えないのはモデラーの性で、タミヤの1/32にちゃんと入ってるジャン!と今更気が付くのは普段ヒコーキにあまり関心が無いとバレる……


残念ながらコックピットにはあまり接近できず、内部写真を撮れなかったのが心残り。とはいえこれも混雑を避け機体の保全を第一に考えた見学レイアウトでしょうと納得できるので、その点不満はありません。


アメリカで飛行許可を受けている機体ならではのコーションマークもあったりで興味深い細部です。さすがにこのレストア状態を製作できるプラモなりデカールなりは製品化されてないのかな?それも面白いかと思いますけれど。


さいわい自分の出掛けた日時は比較的お客さんも空いていたので尾灯部分の詳細なディティールもじっくり見学できました。モデルアートの連載記事そっくりだってその感想は本末転倒である。


実際に飛行している機体としては排気管の焼け具合やカウリングの塗装剥がれがモデリングの参考になるかと思います。丁寧に動態保存されているレストア機体と戦時中の実戦配備機では置かれている状況がまるで異なるのはともかくとして。


排気管後方の補強板が綺麗なままであったのが印象的でした。補強されるぐらいだからこの部分って痛むのだろうかと想像していたもので、やはり百聞は一見に如かずかー。


機体外板の波打ち具合はマスプロ製品では再現できない(しない方が良い)種類のものでしょう。一品物のソリッドモデルでアルミ板を貼り込んで行くような仕上げでしたらあるいは…?


沈頭鋲やネジ頭の処理を見たくて撮影した一枚だけど、戦時中の日本はまだプラスネジ使ってなかったよな…といま記事を書く段になってふと気が付く。そんでネジについてググってみたら驚愕!いまってマイナスドライバーを屋外で所持していると逮捕される可能性があるのか!!いや零戦全然関係ありませんがな!!!


零戦の美しさをよくアスリートのそれに例えることがありますが、なるほど隈なく見ているとそんな気持ちもわかろうというものか。これまで書籍で見ていた時にはいまいちピンとこなかった表現が、いざ実機を目の前にすると納得がいく。実に不思議な体験ですが零戦は美しい、まるでアスリートのようだ。具体的にいうと女子中学生陸上部員のような美しさを備えている。ピンとこない人も実機を見ればわかる、きっとわかってくれると思う……。


銃口が綺麗なままでいるのはなんだかよい感じです。やっぱり平和がいちばんであります。


カウルの隙間からほんのわずかに見えるシリンダー…よりもむしろ栄エンジンを現代まで息づかせるための補機類にこそ注目したい。機体コンディションを維持するためになみなみならぬ苦労や努力が払われている証しです。今回の来日に際してもギリギリまで曲折ありで展示そのものが不安視された時期もありましたし、これまでご尽力されたすべての方に感謝を。


生きている飛行機を吹きさらしの屋外や寒い格納庫ではなく航空発祥記念館の館内で心地よく見学出来るのも、スタッフ皆様の様々な御苦労があればこそです。


今回の零戦来日とこの展示は様々なメディアで取り上げられて大きな話題となりました。その報道に接した人の中でこの貴重な機体が海外で保存されていることに疑問を抱いた方が居られるかも知れません。もし万が一そのような思いを抱かれたならば、かつて行われた四式戦「疾風」のレストアとその後の顛末について検索することをお勧めします。日本よりもアメリカの方が、ビンテージな機体を保全することについては遥かに丁重なのですね。


航空発祥記念館については面白い施設の割にあまり知られて無いような印象もありますので2年前に訪れた際のレポートを提示しておきます。この直後に震災だったんだよな……。展示内容はこの時と基本的に変わってないのですが、フライトシミュレーターなど新設されたアトラクションがいくつかありました。


「航空技術100年展」はアンリ・ファルマン機を改良して初めて日本で製作された「会式一号機」から現代の旅客機までに至る、日本の航空製造の歴史を模型や図面で振り返る内容のもの、今年はジブリの映画もありますから堀越二郎氏関連の資料は重要視されるかもしれません。


地元埼玉の製造メーカーを紹介するコーナー。「三ヶ島製作所」は元々は戦時中に航空機部品を生産していた企業で、現在では日本国内で唯一自転車ペダルを製造しているメーカーなのだとか。零戦の主脚に製造銘盤を残していた萱場製作所も現在は油圧機器製造の最大手として活躍しています。技術は伝承されるべきものです。


あとこんなのもありました(笑)2年前にはたぶんなかったと思う「航空戦士トコロザワン」、売店に行くとDVDが売ってましたな。


そして売店のショーケースには2年前と変わらずコーギーデファイアント 売れ残って 鎮座しているのであった。ああこんなにカッコイイのにどうして誰も手を出さないのか……

にほんブログ村 その他趣味ブログ 模型へ