ハセガワ「1/24 ワコール 童夢 レイナード89D」

90年代当時のF1ブームは模型業界にも様々な形で波及して、F1以外のモータースポーツまでもが立体化されていました。タミヤインディカーを製品化したようにハセガワでは全日本F3000選手権出走マシンをラインナップしていて、今回紹介するワコール童夢のレイナードは1989年のグランプリに参加して全8戦中優勝2回を成し遂げたロス・チーバーの駆る一台です。メーカーの品番はCF-5、現在では絶版となっています。



キットの発売年は1990年、この当時のハセガワはフォーミュラマシンといえども通常のカーモデルと同じく1/24スケールで製品開発していて、タミヤの1/20とは違った方向性を打ち出していました。F1ではフェラーリやウィリアムズのマシンなどを多く発売していましたが、このF3000ではレイナード以外にローラのシャーシーもラインナップ。どちらも多くのチームに供給された有力なマシンで、デカールを変えればいくつもバリエ展開できるという、実にハセガワの性格に合ったクルマですな。



メインスポンサーは大手衣料メーカーのワコールで、80年代から童夢レーシングチームのグループCカーにもスポンサー活動を行っていました。DUNLOPのタイヤデカールはドライの転写デカールで付属。


タイヤはスリックレーシング。F3000は当時のF1と比べてもほぼ遜色のないカテゴリーで、現在は国内ではフォーミュラニッポン、国際的にはGP2選手権に移行して運営されています。


エンジンブロックには「MUGEN」のロゴが誇らしげに刻印。


直線が多用されたボディは今の目で見ればクラシカルに思えますが、当時はとても革新的に写りました。キット解説にも「ボディワークのデザインには最新鋭のCADシステムを使用し」と特記されています。


小ぶりなサイズにパーツも少なめで組み立て易いプラモデルなのですが、さすがはスケール老舗のハセガワで組み立て易くとも出来は確かなものです。無限MF308V型8気筒エンジンは80年代末期から00年代初頭にかけて国内外を問わずに活躍した極めて優秀なレーシングエンジンでした。(シリンダヘッドの「無限」ロゴ部分はこの段階で接着するパーツでは無いのですが試しに載せてみました。そのほうがカッコイイからだ!)


アンダートレイも当時のF1に準拠するフラットボトム。この画像では解り難いのですがエンジンブロック直下の部分は梨地加工されています。


シート周辺の構造もシンプルなものですが、実際シンプルなんで全然気になりません。


計器は必要最低限で、シフトレバーの構造もまさしく人間の手によるマニュアル操作。この時期はF1の上位チームでようやくセミオートマのトランスミッションが導入されはじめたころでしたか、蝶型シフトはナイジェル・マンセルがギアをぶっ壊す為にあるものだとばかり…


組立説明書には特に記載されていませんが(この時期のハセガワ取説はだいたいどれも不親切ですね)フロントサスペンションを形成するC14パーツはハメ込むだけで接着しません。


リアサス関係は特に問題も無く組むことが出来ます。


具体的にどのレース、どのセッティングとは明言されていませんが、比較的小ぶりなリアウイング。直線重視のセッティングかな?またフロントウィング翼端のボーテックスジェネレーター(懐かしい響きだ)もプラパーツでセットされてます。


レイナードのシャーシは様々なレーシングチームにベースマシンとして供給されていましたから、無塗装でもあまり不自然でないかな。1/24スケールはカーモデルの分野ではスタンダードで当時からいろいろ小物も充実していましたから、このサイズでフォーミュラマシンのキットをリリースしていたのもそれほど的外れなことではなかったでしょうね。


何の苦もなく完成、と言いたいところですが風防だけはキット指定のE3がどうあってもボディのカーブと合わなかったので仕方なく不要部品のD1を付けてます。追加パーツの合いが良くないのもハセガワ的か…


フロントはステアリング切れます。あとサイドミラーの取り付けピンが細すぎ(もしくは穴大きすぎ)なのでこれから作る人はその点ご注意。どれだけいるかは…数の問題では…ない…


フロントノーズとエンジンカウル、リアウイングまで未接着のまま取り外しが可能です。ピット風景など作りやすくはなっているようですね。またこのリアエンドまでのフルカウルというスタイルが当時のF3000マシンとしてはなかなか画期的だったらしい。


現在ではハセガワやフジミも1/20スケールでF1プラモデルを開発しているものですから、この先1/24スケールのフォーミュラマシンがメジャーになることも無かろうとは思います(ドイツレベルがF1で頑張ってますけど)。昔はウェーブがレジンでスクーデリア・イタリアとかフォンドメタルとか出してたよなーと記憶をノスタルジアに溺れさせるためにも、このクラシカルに角ばったマシンは心が落ち着くカタチをしている…


ところで、痛車レーシングも絶好調な今だからこそ、敢えてワコールが再度スポンサーに復帰し初音ミクやなんやらとコラボするのはどうでしょうか。グランプリがR-18指定を受けても困るけれど、考えてみれば昔っから鈴鹿サーキットじゃ130Rが名物ぢゃないか。

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